25話 ページ26
机をくっつけて勉強を始めた四人。
変人コンビと仁花の3人がノートとにらめっこしている中、Aは布を縫う手を止めずに教えている。
ふと、ぴたりと手を止めたAが影山のノートを覗き込んだ。
「とびお、ここのスペル違う。
nじゃなくてm。日向もそこ、文法間違ってる」
「あざっス」
「あ、ありがとう。…ところで、さっきから気になってたんだけどさ、それ、何?」
日向がAの手の中にある布を指して聞いた。
心なしか目がキラリと輝いている。
「妹の誕生日プレゼント。…と言っても、私の幼児服のリメイクだけどな。あと、袖を作り終えて、縫い付けたら完成なんだ」
3人はAが僅かに、はにかんだように見えた。
Aが浮かべていたのは、姉としての
妹への愛情深さが伺えるその表情に、影山が「妹の事、大切にしてるんだな」と呟いた。
「そんなんじゃないさ。偶に、とんでもない事をしでかすから放って、おけない、だけ、だ…」
微笑いながら放たれた言葉は、だんだんと途切れ途切れになっていった。
Aには、このやり取りに覚えがあったのだ。
_____
「おかえり、お兄ちゃん」
「おう、ただいま。…ま〜た今日も仁花ちゃんと遊んでたのか?Aはほんっと仁花ちゃんの事大好きだよな〜」
仁花を遊んでいた。兄がそう判断したのは机上の二人分のコップを目にしたからだろう。
ニヤニヤと放たれたその言葉に、ムッとして反論する。
今思えば、あのときムッとした理由は図星を突かれた単純な照れからだろう。
「…別に、そんなんじゃない。仁花は、すぐ泣くし、良い奴なのに自己評価が低くて、変な事ばっかするから、ほっとけないだけ」
「それを世間一般では大好き、大切っていうんですよ、オジョーサン」
「…お兄ちゃんの馬鹿」
____
「…いや、そうだな。うん、大切だ」
Aは今度こそ微笑った。
一部始終を見ていた仁花の中で、影山とAについてある方程式が完成していた。
『名前呼び+親しげ+Aが笑う=恋人』
この人が、幼馴染を変えてくれる人かもしれない。
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·
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「じゃあまた部活でなーっ」
その言葉を最後に帰っていく変人コンビ。
直射日光を浴び続けた気分だとぐったりしていた仁花だが、慌てて二人を追いかけ、影山の手を掴んで言った。
「…影山くん、頑張ってね!」
「?…アザス」
「おれには!?」
「あ、日向もテスト頑張って!」
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まみこ(プロフ) - さくにょさん» まじでそれな……。パスワード制にもう一度して、知りたい人に「メッセージ」として送ればいいんじゃないかな……?そうすれば荒らし減りそう。 (2023年2月25日 16時) (レス) id: 2e6caf5e65 (このIDを非表示/違反報告)
もか@無気力(プロフ) - さくにょさん» ありがとう!!!コメントめっちゃ嬉しい…!!!さくにょちゃんも頑張って!!! (2023年1月29日 15時) (レス) id: 611339ddb1 (このIDを非表示/違反報告)
さくにょ(プロフ) - なんでこんな心情描写も仕草も全てが綺麗に描写された作品が伸びないのか・・。もかお姉ちゃん!!応援してるよ! (2023年1月29日 15時) (レス) id: b15bd042db (このIDを非表示/違反報告)
もか@無気力(プロフ) - モモさん» ありがとうございます!!!コメントや評価、本当に励みになるので嬉しいです!!! (2023年1月8日 16時) (レス) id: 611339ddb1 (このIDを非表示/違反報告)
モモ - めっちゃ好みの度タイプです!更新がんばってください!めちゃ楽しみにしています!! (2023年1月7日 17時) (レス) @page34 id: 759a61aa3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もか@テスト死にそう | 作成日時:2022年4月28日 23時