【HQ】小悪魔な恋人【月島蛍】

24話 ページ25

「新しい人見つかったんスね!!」





清水の連れて来た仁花を見て､興奮気味な日向｡
その声に､数人の部員が寄ってくる｡





「えっと､新しいマネージャーとして仮入部の…」

「やっ､谷地仁花です!!!」





マネージャーという単語と､聞き慣れない女子の声にさらに集まる部員｡
「1年生?」と聞かれた仁花が奇声をあげる｡





「いっち､1年5組であります!!」





怯えられた東峰が澤村によって引っ込められ､仁花を不躾に見つめていた田中と西谷は菅原によって視界を遮られる｡
そのタイミングで､怯える仁花を宥めるように手を握っていたAが口を開いた｡
それと同時に､蛍の目が見開かれる｡





「同じく1年5組､櫻坂Aです｡」





何故か､その表情は苦虫を噛み潰したようだった｡
理由は単純明快｡自己嫌悪だ｡
今日は見学だけのつもりだったのに､いざ潔子と話すと潔子の美しさに気取られ､あれよあれよと流されているうちに､いつの間にか仮入部していた｡


美人に弱い自分が憎い…!


そんな感情の現れだった｡


_____
「Aちゃん､お昼休みくらいちゃんと休みなよ」


「…ん〜」





生返事をするAの手に握られているのは黄緑色の布｡
チクチクと丁寧に手縫いしている｡





「…最近寝てないでしょ｡隈､濃くなってきてるよ?」





ぐんぐんバナナ片手に､半ば諦めたように言う仁花｡





「心配しなくても､2時間は寝てる｡この服も､もう少しで完成するし､テストが終われば少しは時間に余裕もできる｡なに､私も倒れるまでやる程馬鹿じゃ…」


「谷地さん!!櫻坂さん!!」





突然聞こえた己を呼ぶ声｡
手を止めた二人が声のした方を見ると､でこぼこと身長差のある二人組の男子｡そのままずんずんと近づいてくる｡






「おれ1組の日向翔陽!!これ影山!二人共勉強好き!?」


「!? 嫌いじゃ無いけど…」
「別に､嫌いではないな」


「英語､コレ教えて下さいっ｡影山頼めよ」
「…教えて下さい…」





来月のテストで赤点を取るとマズイのだと話す二人｡
仁花はちらりとAに視線をやった｡同じようにAも仁花に視線で賛成の意を返す｡





「わ…私達で良ければ…」

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