【HQ】小悪魔な恋人【月島蛍】

20話 ページ21

IH予選当日｡

初日､烏野の相手は常波だった｡
結果は､烏野の勝利｡

ただ､この日は2戦目まであった｡
鉄壁を誇る(らしい)伊達工｡

歓声の声や､コートでランニングする姿を見て､
会場が伊達工1色だと思った｡


…呑まれるなよ｡


そう祈る事しか出来ないうちに､烏野がW U(ウォームアップ)にレシーブを始めた｡

その時だった｡





「ん ローリングッ サンダーァァァ ッアゲインッ」





大きく響き渡った声に､呑まれかけていた雰囲気が多少和らいだ｡
声の主は､服の色からして､リベロだろう｡
その人は､だん!!と足踏みをして話し出した｡




「よっしゃあ!! 心配することなんか何も無え!!
皆 前だけ見てけよォ!! 背中は俺が護ってやるぜ」





その1言で､呑まれかけていた雰囲気は和らぐどころかもとに戻り､
烏野の面々を痺れさせ､伊達工の面々をも痺れさせた｡





「うひゃぁー､…男前…」





なんて間抜けな声が口から漏れ出るくらいには､私も痺れるものがあった｡かっかと頬が火照るのは不可抗力だ｡

今の1言だけでよく分かる｡あの人はきっと､物凄く優秀なリベロのはずだ｡
…お兄ちゃんのように｡





ピー､と笛の音が響き渡った｡
試合が､あとたった3分で始まる｡

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