【HQ】小悪魔な恋人【月島蛍】

18話 ページ19

「でも､別れる訳じゃない｡
この関係でも､私がキミを好きにならない限り､
キミは私に手出しできないから｡

だからこそ､友達になりたいと思った｡
キミに…蛍に､ちゃんと向き合いたいと思った｡
どれだけ時間がかかっても､いつかは蛍が向けてくれる『好き』と､同じ『好き』を返したいと思った｡

…私は､蛍のことが知りたい」





ゆっくりと､絵本を読み聞かせるように話す｡
もちろん､本心だ｡私は､彼に出会ってからの短い時間で､不器用ながらに好意を向けてくれる彼に､存外､絆されていたらしい｡
それに､なんだかんだ言って､私を好きになった理由をまだ聞けていない｡





「…じゃあ､2日に1回でいいから､ここで､一緒にお昼食べて｡
その時に､お互いのことを話そう｡…僕もAの事､もっと知りたいから」


「ああ」





まだ､私は蛍に割と好印象を抱きつつ､友として見ていなかった｡
『友達になりたい｡』そんなこと､初めて思ったかもしれない｡


仁花は最初から､いや､物心つく頃にはもう親友だった｡
…少なくとも､私はそう思っている｡

とびおは親戚の子｡友達と呼ぶにはスタートラインが近すぎた｡

明光さんはお兄ちゃんの親友｡



うん､やっぱり､蛍が初めてだ｡





「改めて､今日からよろしく」





上がりかける口角を押さえつけながら､手を差し伸べる｡
蛍は､意外にも握手を受け入れた｡





「…まあ､よろしく」

19話→←17話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す