【ONEPIECE】どうか幸せな2度目を【逆行】[第一節]

episode.4-1 ページ38

いつかこうなるだろう、とは思っていたけれど。





「………その帽子はなんじゃ、ルフィ」



「シャンクスから預かってんだ。じいちゃん、おれ海賊王になる!!!」



「………ばっかもーーーーーーーーーーーん!!!!!」





フージャ村の誇る海軍の英雄の怒声が、村全体に響き渡る。



生前の海賊王ロジャーを一番よく知ると言っても過言ではない彼が、かなり久々に帰郷してすぐにあの麦わら帽子に気が付いたのだ。



赤髪海賊団の停泊していた一年という長い期間にかち合わなかっただけまだマシ、というものか。



シャンクスはこの村の出身者にこの人がいることを知っていたのだろうか。わざわざ教えるようなこともしなかったが。





………なんとなく、わかった上でこの村を拠点に選んでいたような気すらするのは気のせいだと信じたいが。





「ルフィがいないだけでこの村は静かになるわね」



『ガープさんは来るとうるさいけどね』





ルフィの発言に憤った海軍の英雄ガープ中将は、そのままルフィの首根っこを掴んでどこかへと連れて行ってしまった。



覇気を使ってこっそり探れば向かった先はコルボ山だとわかる。



いつかルフィの口から聞いたガープさんによる”特訓”とやらはかなり無茶苦茶なものであったが、今までそこまでのことはしていなかったように思う。



まあつまり、これから始まるわけか。





『………ルフィが生きてまた会えることを願うよ』



「ガープさん、厳しいものね」





あいかわらずのほほんとしている姉だが、あの話を聞いても同じことが言えるだろうか。



覇気を纏った愛ある拳の痛みに叫ぶルフィの声の気配を感じ取りながら、私はため息をつくしかなかった。

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