許可 ページ7
支度をし終えて仕事に行く直前のお母さんを引き止めて私はまた勝手に動く口に抵抗すらできず、目の前の出来事に流されていく。
『お母さん』
「どうしたの」
『昨日のバイト行きたい！』
そう言うと、いつになく考え込むような姿を見せた後にどこか寂しげに私に言い放った。
「おばあちゃんはいいって言ってた…？」
『うん』
「分かったわ」
しかし一瞬でぱぁっと明るい笑顔を取り戻し、いってくるねとお母さんは玄関を出ていってしまった。
数秒ほどの沈黙のあと、また頭の中で声が響く。
sha「いや〜案外緊張したわ、女の子は大変やな」
その脳天気な声に思わず突っ込みをいれたくなるのをぐっと堪え、自分の口がようやく動くことを確認した後にその声の主に尋ねた。
『あの、貴方何者なんですか』
私が問いかけた直後、ふっと体が一気に軽くなって吐き気が消えたのをはっきりと感じる。
sha「そんなの、君はもう気づいとるやろ？俺がシャオロンやで。ほら、夢で会ったやん！」
目の前に現れたのは、あのとき見たオーバーオールを着た男の子。
シャオロンと名乗った方だ。
sha「あんまここで出るとAのおばあちゃんにバレるからなぁ〜、あっやばい」
再び彼は私に近寄ると、どっと体が重くなり吐き気に襲われた。
「あんた今誰と話してた？」
『……幽霊？』
sha「俺生きてるよ！！！」
シャオロンさんの声はどうやらおばあちゃんには届いてないらしいが、不思議そうな、納得の言っていないような表情でおばあちゃんはリビングへと戻っていった。
あぁ、絶対言い訳出来てない。
sha「俺生きてるんやで」
『そう、なんですね……？』
そんなことを言われても。でも、何となくこの人といるだけでお守りより安心する気がしてきた。
sha「んじゃ、行こうな！」
ぐいぐいと目に見えない謎の力で背中を押され、私はずるずると玄関まで引きずられては外に無理やり追い出されてしまった。
なんて強引なやり方なのだろう。それに住み込みなのに準備すらしていない。
『あ、あの、せめてスマホを…！！』
sha「ん？あぁ！じゃあ取り行こか！」
勝手にまた体が後ろを振り返り、自室へと動いていく。勝手に主導権を握らないでほしい。あと、自室を見ないでほしいがこればかりはどうしようもできなくて、流されるままに私は最低限の荷物をまとめだした。
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カル(プロフ) - 好きです！続き…楽しみにお待ちしております！！ (2020年4月28日 18時) (
レス) id: 109968551c (このIDを非表示/違反報告)
とうふ(プロフ) - ありがとうございます、嬉しいです(オタク特有の笑顔) (2019年10月13日 20時) (レス) id: e430844ced (このIDを非表示/違反報告)
アルカリ - とうふさんの作品が、尊いです。(真顔) (2019年9月24日 17時) (レス) id: f17e38f5ae (このIDを非表示/違反報告)
とうふ(プロフ) - ありがとうございます〜(逝去) (2019年9月9日 18時) (レス) id: e430844ced (このIDを非表示/違反報告)
歩くアスパラ - んは〜、めっちゃしゅき〜。尊い。もう好きすぎる(昇天) (2019年9月9日 0時) (レス) id: ec00883068 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とうふ | 作成日時：2019年8月6日 11時
