☆１５０話☆ ページ37
暫くの間静寂が続いた
とても長く感じたけど、実際はたった数秒だったかもしれない
その静寂を破ったのは、兄さんだった
灯「……母さん、婆ちゃん、頼む。コイツの願い、聞いてやってくれ」
「悠斗……？貴方何を言って」
灯「優が今まで、こんなに必死になって頭を下げて懇願したこと、あったか？俺らの家系は、何でか知んねぇけど皆意地っ張りで、人に頭を下げるなんて滅多にしない人間ばかりだ。その中でも優は自分の考えを絶対に捻じ曲げず、相手の考えを捻じ曲げてでも貫き通す。そんな奴だ。そんな優が、頭を下げて頼んでるんだ。……聞いて、やってくれないか」
優「兄、さん……」
ずっと黙って聞いていた兄さんが、いつもは少ない口数を多くして話した
兄さんはいつだって、どんなときだって私の味方でいてくれた
今もそうだ、兄さんは私の味方であってくれる
たったそれだけなのに、それが堪らなく嬉しく感じた
「悠斗、そうは言いますけどね、先祖代々続いてきたこの呉服屋の伝統を、これ以上潰す訳にもいかないのですよ？賢い貴方ならよくわかるでしょう？」
灯「……そうだな、確かにそうだ。これ以上は先祖様達に示しがつかない。……だけど」
兄さんは１度そこで切ってから、少し息を吸ってこう続けた
灯「先祖どうこう言う前に、俺は優の兄だ。兄として俺が出来るのは、優の願いを叶えてやることだけだ」
「っ…貴方まで！私は貴方達をそんな風に育てた覚えはありません！」
灯「育てられた覚えはねぇ！！！」
母さんが大声を張り上げた直後、それよりも大きな声で兄さんが怒鳴った
兄さんのこんな大声、初めて聞いた……
兄さんが顔を上げた途端、空気が変わったのが肌から直接伝わってきた
灯「いつだって、毎日毎日仕事ばっかりで、ちっとも俺らのことを見てくれたことなんてなかったじゃねぇかよ！飯だって作るのは手伝いさんで、一緒に飯を食べたことなんてあったかよ！？爺ちゃんがいなくなってから親父も何も言わなくなったし、婆ちゃんは余計厳しくなって、誰も俺らのこと見てくんなかったじゃん！どれだけ優が寂しがってたと思う！？どれだけ俺が寂しかったと思う！？ずっと…ずっと！俺らはたった２人だった！！！」
肩で息をしながら、兄さんが手をグッと握りしめていた
兄さん、泣いてる……？
灯「っ…とにかく、そういうことだから。俺だけでも優の願いを叶える」
兄さんは少し震えた声で、それでもはっきりとそう言った
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月夜(プロフ) - いちか(Tomotomo)さん» そんな…面白いんだなんて最高に嬉しい褒め言葉ですよ…(´∩ω∩`*)これからもリピートしちゃう程面白いと思っていただける作品を書いていきたいです(＾ω＾) (2017年3月28日 3時) (
レス) id: 908af49495 (このIDを非表示/違反報告)
いちか(Tomotomo)(プロフ) - 月夜さん» 月夜さんの作品は面白いのでリピートして読めちゃいますもんw (((´∀｀*)あは (2017年3月27日 20時) (レス) id: 58bf074e1a (このIDを非表示/違反報告)
月夜(プロフ) - いちか(Tomotomo)さん» ありがとうございます！そう言っていただけて凄く嬉しいです！確かにハマったものは最後まで読みたいですよねwそんな作品と思っていただけて嬉しいです！ (2017年3月25日 20時) (レス) id: 908af49495 (このIDを非表示/違反報告)
いちか(Tomotomo)(プロフ) - 月夜さん» 更新まってますね！！.｡ﾟ+.(*''*)ﾟ+.ﾟ 飽きないので大丈夫です！！ww ハマると最後まで読み続けたいですからww (2017年3月25日 17時) (レス) id: 58bf074e1a (このIDを非表示/違反報告)
月夜(プロフ) - いちか(Tomotomo)さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけると作者もやったー！！ってなりますw ありがとうございます！無事合格出来ました！ 皆さんに飽きられないようなペースで更新していきたいです(＾ω＾) (2017年3月24日 18時) (レス) id: 908af49495 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月夜 | 作成日時：2016年1月29日 20時
