【ツキウタ】信じたモノを守り抜け【文スト】

20話・お出掛けです ページ36

「…あっ、ミナヅキ、ごめんっ。俺用忘れててさ…！スーパー行くんだけど、一緒にくる？」

＿＿そして、目をあける。
さっきまで座っていた場所だ、目の前にはさっきと同じ場所に立つ神無月だ。
…今ここで、何が起こったというのだ。
自分はあの書斎に、結局何分ほど居たのだろう。いつの間にか、自分の服を着ているし…。
そういえばこの部屋には時計が存在しない。神無月が腕時計をしている可能性は？あとで確認しよう。

「…う、ん…」

なんというか、不思議なことが多すぎる。…それと同時に、知りたいことが増えていく。
この、光の世界は不思議だらけだ。…全部、全部知ってみたい。全部、全部教えてもらいたい。

＿＿この世界で、生きてみたい。

その暖かさに触れてしまったから、もう闇に行く気になれない。

「…行こ、ミナヅキ！」

神無月がこっちに手を差し伸べる。なんとなく、その手を握って立ち上がってみた。
彼の嬉しそうな顔。…こっちまで嬉しくなった。






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…人間は嫌いだ。嘘をついて、人を惑わして、それを喜とする。人を傷つけることを喜とする。そのせいで、本当さえもが嘘とされてしまう。悪循環ばかりを流している。
…音楽は好き。音楽は嘘をつかない、人の考えた世界そのものが伝わってくる。その世界は、自分の感情によってまた広がっていく。
…そういえば。兄さんも、音楽、好きだったよね。元気、かな。『あの事件』以来、全く会ってないから、ちょっと心配。
…ねぇ、兄さん。次は、何時会えるの。

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「＿…ナヅキ、ミナヅキ？大丈夫？」

「…っ…、うん、へい、き…」

スーパーまで歩いてる途中で、少し考え事をしていた。そのせいで、ボーッとしてたみたいだ。周りが煩い。全て音階に変わって行く。…余計煩い。
…何で、兄さんのことなんて…。…もう、話せるかもわかんないのに。

「あ、此処だよ。さ、早く買っちゃおう！」

その後、とりあえず神無月の後ろにくっついて、スーパーでの買い物を終えた。さすがにボート・マフィアの人に見つかったらマズイ。スーパー前で、さっき別れた。
「また、話そうな」
という神無月の言葉に、少し大きく頷いてみた。

…そして。彼は腕時計をつけていなかった。

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