【名前変換オリジナル】カースト頂点の女王と、シンデレラ。

8 Kaito ページ13

初めまして、蒼井Aです。よろしくお願いします。

耳に零れ落ちてきたその声に、快斗はハッと組んだ腕の中に埋めていた頭を起こした。少し、というかほぼ眠っていたのでしばらく目の焦点が合わなかったが、そんなぼやけた瞳にも彼女はとても綺麗に映っていた。

確か転校生といったか。男子共が女子だといい、なんて騒いでたのを思い出す。

丁寧にブラシの入れられている、艶々とした亜麻色の髪。真っ白な雪のように繊細な肌。

アクアマリンの宝石を嵌め込んだような瞳が、まばたきと一緒に小さくまたたいていて、思わず見惚れる。華奢なスタイルは、とても可愛くて、本当にタイプ一直線で。



「蒼井さん、彼氏いますか!?」



教師が質問タイムを始めた途端に手を高く掲げ、叫ぶような勢いで机から体を押しだす。



「いません」



俯きがちにか細い鈴のような声で確かに聞いた答え。机の下で見えないように、小さなガッツポーズをした。


**********


休み時間になった。速攻で開けるは、『ゼロ』の名前のライン先。


快斗ねぇねぇ、藍沢
ゼロなんだ


思わず苦笑する。相変わらずの既読無視もどきだ。今回なんて、既読マークがついて短い三文字を打つまでに3分かけている。


快斗あのね、転校生がすごく可愛くてさ、
ゼロへー
快斗俺ね、すごい好きなの


…やけに間が長い。15分はやり過ぎではないか、藍沢零。もしかしてついに気だるげ症候群に掛かって天に召されたか、そうかそうか。

そうなこうな脳内茶番を繰り広げていると、不意に藍沢からラインの返信が来た。


ゼロお前、正気?


◇

9→←No.?

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