諦めないから【菅原孝支】【影山飛雄】

私とバレー部 ページ3

Aside__



ボールの音が響く第二体育館。



12人の男子たちが、汗と涙を流して、強くなっていく場所。



ホイッスルの音が鳴り響く。



今日も、男子バレー部の練習が始まる。



＊




この男子バレー部で、私はマネージャーとして彼らの手伝いをしている。


部員のドリンク作りにゼッケンの洗濯…忙しいし大変なことばかりだけど、本当に楽しい！


日々成長していくみんなを見るのも楽しいし、それに＿＿




「もう一本お願いします！」




…私の幼馴染、影山飛雄の存在だ。


幼稚園に小学校、中学に高校…ずっと同じ学校に通っている。


ずっと前から好意は抱いているのに、全く気づかない。


それはバレー以外には全く無頓着という、良くも悪くもバレーに徹した人間だからだろう。




「七海！今の見てたか！？」


そう言ってぴょんぴょん跳ねるオレンジ頭は、彼の相棒、日向翔陽。


『あー。ごめん何も見てなかったわ。』

「なっ…！？つ、次は見てろよ…！！影山、もう一本！」

「おう。」



こうやって12人の練習を見ていても、自然と目に留まってしまうのは影山だ。


目に馴染んでいる、っていうのもあるんだろうけど、気がついたら探してしまう。


…これが、"恋"なのかな、なんて考えることもある。




バシイーン！！と、スパイクの決まる音がする。



毎度毎度、彼の打つスパイクには驚かされる。


私と10cmも変わらない身長で、他の選手に負けず劣らずのスパイクを決める。


跳ぶ、と言うよりは、"飛ぶ"という表現の方が正しいと思わせるジャンプ。


本当にすごいな…と感心しているところに、愛しの清水先輩がやってくる。



「お疲れ、Aちゃん。」

『お、お疲れ様です…！！』



清水先輩は本っっっ当に綺麗。


サラッサラの黒髪に、口元のほくろ。


冷静でクールなところも好きだけど、女子である私に見せてくれる笑顔が本当に素敵。


いわゆるギャップ萌えだ。


ぶっちゃけ影山よりも清水先輩の方が好きかもしれない。


今日も清水先輩を拝めたことが幸せです。ミッションコンプリート。



「影山たちを見てたの？」

『はい、そうです。毎回驚かされますけどね…』

「本当にすごいよね、変人コンビ。日に日に成長していくもんね。」



そんなことより清水先輩の美ボディがすごいです、と心の中で呟いて、彼らに向き直った。




今日の練習も終盤だ。最後まで気を抜かず、集中して頑張ろう！

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