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66話 ページ19

タクシーの中で、ずっと頭を悩ませていた。
もちろん、レンさんの話の内容の事で。




スピーシス…
ヴィラン名:Evil species 【イブルスピーシス】は、私に種を植え付けたヴィランの事だ。



その名の通り、《悪の種》。
捕まってから当分は出て来れないはずなのに…
何で出所なんか…




もちろん、出所するのには理由がある。
保釈金を積むか、刑期の満了か。




スピーシスの刑期は長かったので、何かしらのルートで出所したのだろう。
意地汚い大人の世界で、お金は余程回る。





アイツを出しちゃいけない。
私の様な人を、これ以上生み出しちゃいけない。





かつて、アイツとの交戦は酷いものだった。




《種》を強制的に埋められた民間人が巨悪を身に宿して、暴徒化する。
ヒーローにとって、何の罪もない操られた民間人を止めるのは容易な事ではなかった。





スピーシスの嫌なところは、自分の手を汚さないところだった。




彼はただ《種》埋めるだけ。
暴徒化するのは強制的に力を引き出したにすぎなくて、そもそもの《悪意》は人がそれぞれもつ本質だったから。




捕まえた時も、アイツは言った。




《俺だけが悪者か?お前も…俺も…同じ《悪》を持つ人間。何ら変わりはないってのによ》




暴徒化して戻れない民間人は、操られた全員が今も病院の中で苦しんでいる。




《俺は手を汚さない____》




《俺は、ちょっと用意しただけさ____》




《人が持つ《悪》の器をな____》





最後の最後。
アイツは私に特殊な種を植えて、牢に入った。





ずっと苦しめられてきた。
アイツの呪縛は今も私から離れない。





そんなアイツを出所させられたら、私も今のままでは済まなくなってしまう…






あぁ…本当に厄介な人。
今どこで何をしているのか。




それだけが気がかりで、それだけが心配で。
また民間人に種を植えられたら?
私は自我が持つのだろうか。





いや、あの時より私は成長したはず。
だから…今度こそは…






犠牲者を出さない。





そう心の中で誓った。

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月王子(プロフ) - かっちゃん様 コメントありがとうございます!そう言って頂けると凄く嬉しいです!とても励みになりました。これからも暖かい目で読んで頂けますと幸いです! (2020年6月5日 22時) (レス) id: 3b2a481344 (このIDを非表示/違反報告)
かっちゃん - めちゃくちゃ面白いです!1から一気見しちゃいました!笑相澤先生カッコよすぎるー!この先がすごく気になる!!更新頑張ってください!応援してます! (2020年6月4日 21時) (レス) id: 1736336eab (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月王子 | 作者ホームページ:http  
作成日時:2020年5月28日 15時

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