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#8 ページ8

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まわらない頭をフル回転させて



なんとか住所を伝えたけど、







「こっからまあまあ遠いんやね。」







優しい口調で話されて


またまた睡魔に襲われる。







40分くらいかかりますねー、という運転手さんの声のあとに




「ん、寝てな。」






頭の上に感じるあったかくて大きな手を認識したあたりで



わたしは意識を手放した。






.







「・・い、おーい、」







耳元から発せられる声と


むぎゅう、と握りつぶされるほっぺ。







『・・・んぅ、』





「あ、起きたー。もうすぐ家着くってー。」









あ、そうか。てつやくんか。




飲酒による深い眠りのせいで


ついさっきまでの出来事も消えかかっていた。









「ねえ、LINE交換しん?」





『、んぇ?』








わたしの寝起きすぎる声にカッカッと笑いながら



スマホの画面をこちらに向けてくる。








『んう、まぶし、。』







どう?目、覚めた?と覗き込まれても。







『んー、らいん、どこだっけ。』






「はいはい貸してみなさい。」









ひょいっとわたしの指をすり抜けて




勝手に開かれるアプリ。








「はい、おっけー。」








ふーん、こんな感じなんだー、と


わたしのプロフィールをまじまじと見るから







『ちょ、やめて・・・』







流石に頭も少しずつ冴えてきて




恥ずかしさと、てつやくんに対する何だか分からない気持ちで胸が痛くなる。







.









着きましたよー、という運転手さんの声。




ああ、もうお別れかあ、




なんかさみしいな。








『また、会える、?』




考えずに発してしまったこの言葉に









「ん?会えるでしょ。」






てか会いにくるわ、と窓の外を見渡して場所を確認するてつやくん。









素直に、うれしい。









『きょうは本当にありがとね。』




開いた窓の奥にいるてつやくんに手を振る。





「ん、また連絡する。」








〜〜までお願いします、という声とともに発車するタクシー。









あー、行っちゃった。






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- こんな素敵なお話が無料で読めるなんて…。。とても面白かったです!今から続編見てきます楽しみです! (2021年1月8日 21時) (レス) id: f511a09636 (このIDを非表示/違反報告)
Mrs.ぱんぷきん(プロフ) - 完結おめでとうございます!!橙さんのピュアピュアなお話はやはり良きですなぁ〜!今後のお二人にも期待ですね!!!素敵なお話をありがとうございました! (2020年12月19日 7時) (レス) id: 3c19ec381c (このIDを非表示/違反報告)
おかゆ(プロフ) - はじめまして!小さい小さいおじさんに思わず笑っちゃいました!すれ違う2人の気持ちにギャンギャンしてます!これからも更新楽しみにしてますー!! (2020年10月27日 1時) (レス) id: 2797378088 (このIDを非表示/違反報告)
はち(プロフ) - はじめまして(*^^*)新話がでるたびにニヤニヤしながら見ています(*´ー`*)緑推しですが、橙もいいですねー! (2020年10月19日 5時) (レス) id: 4e98ffd1fb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ね子 | 作成日時:2020年10月16日 10時

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