橙と私

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(tetsuya side)




“お兄ちゃんみたい”か。





俺の頑張りは見事に空回りしている。



紳士な振る舞いをしてるつもりなのに

Aちゃんにはお世話係に見えてるらしい。






年下好きとして“ お兄ちゃん ”なんていうワードがグッと来ないわけないけど



でもやっぱりAちゃんには男として見てもらいたいわけで。






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今日もジュースみたいなお酒をちびちび飲むAちゃん。


向かいに座るとしみつと楽しそうに話しとる。



それを

酔ってないかな、眠くなってないかな、なんて


横から見守りながら勝手に心配してる俺。




たしかに、保護者みたいだな。





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俺の視線に気付いてこっちを向くAちゃん。





『・・ん？』





相変わらずほっぺは真っ赤で、


少しだけ眠そうな目で俺を見上げる仕草がなんとも艶っぽい。





こんな顔されたら妹なんて目線じゃ見れねえんだけどな。





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「ん？なんでもない。」






そっかぁ、なんて言いながら


またとしみつたちと会話を始める。






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ふにゃふにゃした喋り声が聞こえてきて

そろそろかなーなんて少し覗けば



案の定ウトウトしながら一生懸命話すAちゃんと大酔っ払いのとしみつ。






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帰るかー、なんて言ってみれば

帰りたくないといった様子で駄々をこねる2人。酔いすぎ。





みんなで説得して、なんとか家へ連れて帰る。





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今日のAちゃんは眠さより楽しさが勝ってるようで

車の中でも楽しそうに話してる。






今日の俺の偉いところは、飯の時間からあんまりAちゃんにグイグイ行くのをやめたところ。




いや、お世話してる時点で絡みに行ってるのは間違いないけど

あからさまに話しかけたり、ボディタッチしたりするのは控えた。




効果があるとかないとか、それ以前になんの効果があるとかは置いといて。



だけどAちゃんは定期的に俺に話しかけてくれる。

正直、めちゃくちゃ嬉しかったりする。単純だな。







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『ねえ、てつやくん？


　てつやくんもちゃんと泊まってくれるよね？』






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暗い車内で、外の明かりに照らされるAちゃんの顔。







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「うん、泊まる。」





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やったあ、なんて言いながらにこにこするな。


かわいすぎるだろ。






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