橙と私

#37 ページ37

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(tetsuya side)





どうやら俺は、キスの後の会話を失敗したらしい。







嫌だった？と有りがちなセリフを口にすれば


質問返しされてしまって。






挙句、


自分でもカッコつけたのかすら分からないような




「こんなかわいい子とキスするの、嫌なわけないじゃんね。」




なんて、今思い返せば後悔が残るセリフ。




好きな相手に言うセリフじゃないだろ。






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もちろん返事は素っ気なくて、そこから会話もなし。







運転しながら横目でAちゃんの様子を伺えば



楽しくなさそうに窓の外を眺めている。






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結局持ち直せないままAちゃんの家に着き


呆気なくさよならした。






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タイミングよく電話が掛かってきて


車を道路脇に止めて出る。







り「もしもーし！」






りょうかよ。今いちばん話したくねえよ。






り「Aちゃん送った？」




「うん、さっき別れたとこ。」







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り「・・・で？喧嘩したの？」





は？見てたのか？


キョロキョロしてもカメラなんて無い。






声色でバレバレだわ、と電話の奥で笑うりょう。






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気付いたらさっきの状況を一からりょうに説明する俺。



なんでりょうに相談してんだ・・と思った頃には手遅れで。







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り「急にキスしたらAちゃんもびっくりするに決まってるだろ。」






はあ、


脈アリだ！なんて舞い上がってた自分がダサすぎて、ため息が出る。






り「謝れば許してくれるよ。いい子だしね。」







電話をテキトーに切って、急いでAちゃんに謝罪のLINEを送る。





てつや急にキスしてごめん。





これだけ送ったらおかしいかな、とか

スタンプも送ったほうがいいかな、とか



自分が“恋している”ということを改めて実感すると変な気持ちになるな。






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すぐに返信が来て、ホッと胸を撫で下ろす。






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今まででいちばん長くて、恋しい、1週間。






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