橙と私

#11 ページ11

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『なんか、久しぶりだね。』




胸の高揚を誤魔化したくて



頑張って自分から話し始める。







「ほんとは、そんな感じなんだ。」








想像してた返事とは違うし



何のことを言っているのかイマイチ分からない。







『え、？』






「いや、服装とか、髪型とか。」






先週と全然違うやん、って言われて



ああ、と納得。






『変、かな。』





「いーや、そっちのがかわいいと思う。」








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そっか、と返事するのがやっとだった。









“かわいい”、か。









こんなので舞い上がってるの



おかしいかな。








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あの日と同じように他愛もない話をしていれば



とうちゃーく、という声と目の前にそびえ立つ大きなビル。








『このビルがおうち？』






うん、て当たり前のように返事するけど



お金持ちだぁ、としか感想が出てこない。









2人でエレベーターに乗って



てつやくんのお部屋まで行く。









「あのさ、






　部屋で男どもに絡まれるかもしれんけど大丈夫？」









大丈夫、とは？





そう思ったけど









『うん、大丈夫。』









テキトーに返事しちゃった。









だって




2人きりのエレベーター









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やっぱりドキドキするんだもん。









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「ただいま。」






『おじゃましまーす、』









ゾロゾロと玄関を覗きに来る“男ども”たち。









『は、はじめまして。』








〇〇「ほんとにAちゃん？」









よくわからない質問に









『えっと、』








「変な質問するなって〜。」







困っとるやん〜、とてつやくんの助け舟。









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たくさんの男の人たちに囲まれて









なんだか、緊張する。









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