【w.r.w.r.d】私の記憶が無い幼馴染 3 (ページ10)

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１１０．ページ10

～grppn side～

「だって...！！」

むぅ、と頬を膨らませ、拗ねたような表情を見せるA

あれから取り敢えずスイーツバイキングを食べに、お店に来ていた

少し食べ始めた所で約20分前の、出来事の訳を聞くと不愉快そうに顔を顰めながら話してくれた
そして、何故男たちが怒っていたのか聞いたのが冒頭だ

「...無意識に言ってた言葉が引っ掛かったらしい
でも、事実」

そう言ってうんうん頷く

そして少し黙ったと思うと不思議そうな顔をして聞いてきた

「じゃあ、聞くけど
グルッペンさんこそ、何であんな所にいたの？」

理由は単純

「あの道の方が早く着くからだ」
「うわ、同じ理由」

驚いたように返す

そしてふわりと微笑む彼女
その彼女がケーキを食べようと動かした腕を俺は掴んだ

ピクリと肩を上下させ、俺を見る

「？どうか、した？」
「いや、よくあの男どもに掴まれて、この細い腕が折れなかったな、と思ってな」

嘘だ
夢を見たせいか、無駄に意識してしまう

だからか、知らぬ男に掴まれた腕を俺の手で上書きしてやろうと思った
それをバレないように行う
どれだけズルいんだろうか、俺は

それでも、彼女は笑った

「ふふっ、あっはは
私の腕はそんなに細くないよ？」

そう言うとケーキを一口頬張った

バイキングを終え、店の外に出る

日は傾き始めていた
オレンジに染まりつつある空を眩しそうに見つめるAが、儚げで、消えてしまいそうだった

ずっと見つめているとAが此方に振り向いた

「え？何？私の顔に何かついてる？」

不安そうに頬を触るAに大丈夫だと言う

「そっか
じゃあ、帰ろうか
もう、日も傾き始めたからね」

「そうだな、送って行くゾ
因みに拒否権は無い」
「え......ありがとう」

少し顔を逸らし、恥ずかしそうにつぶやいた
遠慮がちに言うのは距離が近くなっても変わらない様だった

歩き始める彼女の隣で歩く
ローファーを鳴らしながら上品に歩く彼女を一瞬横目で見たが、直ぐに視線は正面に戻した

少し歩いた所で、横断歩道を渡る事になった
他の横断歩道と比べると長かった

あと5mくらいになった所だった
頭の中で警報が激しく鳴り響いた
そして、それとほぼ同時に周囲も騒がしくなった

Aを見ると、騒がしくなった事に気づいていない様で、普通に歩いていた

「A...！？」
「ん？どうかし...」

不思議そうに首を傾げた彼女を突き飛ばした