【w.r.w.r.d】私の記憶が無い幼馴染 3 (ページ9)

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～you side～

グルッペンとの待ち合わせに遅れないように余裕をもって家を出る

少し踵のあるローファーで、速足で歩きながら左手に付けられた腕時計の針を確認した
時間に余裕がある事を改めて確認すると、歩くスピードを遅め、コツコツとと音を鳴らしながら歩く

待ち合わせ場所は学校の近くにある駅になっていた

駅へは、駅の正面が見える大通りからではなく、人の少ない、車1台しか通れないような道から駅に向かっていた
此方の方が早く着くからだった

途中から大通りに出て、少し歩けば駅なのだが...
歩けない
それはなぜか？そんなの、誰かに腕を掴まれているからだ

「ねー、おねーさん？」
「俺たちとさぁ、遊ばない？」

2人組の男
腕を掴んでから、話しかけ無理矢理、家と家の細い道に連れ込む辺り、常習犯だろう

2人なら蹴りでいけそうなものだが...
私の後ろは残念ながら行き止まり、唯一の出入り道は男たちに塞がれている
そして、私は今、両腕を掴まれていて、自由に動かせない

めんどくさ...！！！
なんて心の中で呟きながら、ニコニコと笑顔で男たちを見る

「おねーさん抵抗せんのやな」

「あら
抵抗出来ないようにさせているのは貴方の癖して、愚問なのでは？」

相手もニコニコとしていたが私の言葉で一瞬にして笑顔が崩れた

そしてそれと同時に拘束している手が緩んだ
その隙を見計らい一旦後ろに下がる

さて、どうするか
怒らせてしまった

いや、うん...

あの発言は完全に無意識だった

ちらりと視線を腕時計に落とす
まだ時間はある
時間に余裕が出来るようにしておいて良かった、と思える程の心の余裕はあるようだった

「このクソ女が......！！！」

「....彼女がクソ女だとしたら、お前らは下劣なクソ男どもだなぁ？」

2人の男の後ろに立ち、出入り道に立つ男
口角はニヤリとあがっており、口調は煽るようだった
勿論、グルッペンだった
私も、口角を上げた

「ふふふ、余所見はいけませんよ....！！」
「は？...っ！！」

私の渾身の蹴りを背中にお見舞いする予定だったが、後処理がめんどくさくなりそうだったので、少し力を弱めて脛を狙う

すると、簡単に崩れ落ちた

「ぐっ！！」

もう1人の方から呻き声が聞こえて来たのでそちらを見ると、明らかに手加減されているグルッペンの蹴りが男のお腹にめり込んでいた

私は少し服をはたき、グルッペンを見た
すると、彼は微笑んで手を差し伸べてくれた

私はその手を取った