【w.r.w.r.d】私の記憶が無い幼馴染 3 (ページ8)

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それからも冬休みなどがあったが、これ以上思い出していると頭痛が限界になりそうだったのでやめた

ご飯を食べ、お風呂に入ると頭痛は多少なりともマシになった

それからは特になにも考えずに過ごしたが、夜遅くになり睡魔が襲ってくるとそれに逆らう事はせずに、寝ようとベットに入った

そして、直ぐに意識は落ち、夢へと誘われていく

急にバンッッ！！と凄まじい音がした

重い瞼を少し開けると、同時に頬に何かが落ちて来た

狭い視界の中で見えるのは大粒の涙を流すAがいた

「A？」
「グルッペン、グルッペン！」

名前を呼べば更に涙を流す

Aは居る
だが、周りは真っ暗だった

Aはいつも俺の事はさん付けだった気がするんだが...
と思いながら彼女の頬に手を添える

するとAは更に手を重ねた

だが、手に力が入らなくなってずるりと彼女の頬から離れた
それを見て彼女は更に震え、瞳を大きく揺らした

「グルッペン？ねぇ、嫌だよ、死なないで？
ねぇ、私が分かる？」

震えた声が俺の耳に入る

どうにかして、彼女を安心させてやりたかった
力の入らない口を動かす

「大丈夫だ、死なない
だから、泣かないでくれ」

そう言った後、彼女に微笑みかける

そして、彼女の悲しそうな顔を最後に意識は落ちた

重い体をベットから離す

まるで現実のようだった
それと同時に俺は思った

「何を、何を忘れているんだ....？」

カーテンを閉め忘れた窓から外を見れば、街灯の光だけが見えた
時計を見るまでも無く、3.4時なのが分かる

両手で顔を覆う

泣いていた彼女を見た時、守りたいと思った
それの理由なんて、疾っくの疾うに分かっていた

Aと男が楽しそうに話しているのを見ると、心の底から沸々と湧き上がってくる黒い感情が嫉妬である事
ずっと隣に居てほしいと、俺だけを見ていてほしいと思うのが独占欲であることなんて

俺が、ずっと
彼女に恋していた事なんて

ずっと前から、理解していた

でも、認めたくなかった
それの理由は分からなかった

顔から手を退け、少し明るくなってきた空を見ながら身支度を整えた

親を起こさぬように一階に降りると、カーテンの隙間から日の光が差し込んでいた
外はまだ薄暗いはずなのに、昼間のように明るい光だった

彼女の笑顔もこのくらい、眩しく、美しい光のようだがな
なんて思う辺り、彼女の事が好きな事はもう、誤魔化せない様だった