【w.r.w.r.d】私の記憶が無い幼馴染 3 (ページ13)

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１１３．ページ13

～grppn side～

インターホンの音だけが木霊する
Aの家に来てみたが、インターホンを押しても何も起こらない

ダメ元で玄関の扉を押してみた
すると、開きっぱなしになっていたのか、直ぐに開いた

不用心だな、なんて思いながら家に上がる

リビングの扉を開けると、行き成り体に体重が掛かった

飛びついてきたのはたった一人しかない
張本人は此方を向いて微笑んだ

「ふふっ、いらっしゃい、グルッペン」

「居るんだったら出てくれてもいいじゃないか...」
「えー、紅茶入れてて...」

俺から離れながら笑った

ソファーに腰を下ろすと、前にあるテーブルに紅茶が置かれた
そして、隣にはAが座った

少し、沈黙が起きる

紅茶を一口喉に流し込む
熱い紅茶が喉を通る

「A」
「ん？」

名前だけを呼べば、不思議そうに首を傾げた

「...無理して笑わなくていい

確かに、弱いお前を見たくはない、と言ったが泣くなと言ってる訳ではないんだ」

自然と手が伸びて頭を撫でてやると、俯きながら両手で顔を覆った

「ねぇ、私の話、聞いてくれる？」

弱々しく出された声は震えていた

「＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿」

顔を上げた彼女は泣きながら、笑っていた

「...先に言われてしまったな

俺は、＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿」

「あれ？そうだったの？」

ふふ、なんて笑っていた

「ねぇ...」

『愛してる』
「1人では言わせない」

「ズルいのね
昔と変わってない」

ニッと今度は意地悪そうな顔をする

お前もズルいぞ
なんて言葉は出ずに、Aの唇を奪う俺も、相当ズルいかもな

「...へ？」

ポッと顔を赤くする
...お？

「ふっ、なんだ恥ずかしかったのか？」

自然と口角が上がり、彼女を見つめる

「...グルッペンはいつだって、私よりも一枚上手
でも、私だって、貴方の隣に立っていたいのよ？」

そう言うと少し口角を上げて台所に消えて行った

結局何をしたかったのか分からなかった

「んー？何暗い顔してんの？」

後ろから声が聞こえた
速すぎないか、と思ったが
何で”暗い顔”だと分かったのだろうか、見ても居ないのに

そう思い振り返った

「......よそ見禁物
いただきっ」

「...乗せられたな」

「ふふ」

振り返った後、直ぐに此方が唇を奪われてしまった

「やっぱり、愛しいものは変わらないのだな」

「...？何か言った？」
「いや、何も」