◆４２． ページ42
「ん...」
「....鬱....？」
目が覚めて、声を少し漏らすと聞きなれた声が聞こえる
「んー、おはよ...」
「う、うん、おはよう」
目を擦りながら言えば返してくれる
しっかり目が覚めた所で、Aに言う
「ごめんな、A」
「え？」
理解できない様な顔をするAに一応言っておく
「昨日、一緒に居たかったんやけどな
行き成り連絡は入ってもうて...」
「ううん、大丈夫
...それよりさ、なんでいるの？」
納得してもおらったけど、居るのは謎みたいで聞いて来る
「一緒に居れんかった時に買ったお菓子届けに来たんが昨日の夜やってんやけどな
Aが丁度寝る所やったから、ベットまで運んで俺も此処で寝てもうてん」
ちゃんと言うとAは納得したように笑顔になった
ほんま、かわええわ
Aにお菓子を渡して、帰ろうとする
流石に居るのも、って思ったから
やけど、洋服の裾を掴まれて行けない
やっぱり裾を掴んだのはAで、どうしたのかと聞く
「...き、きのう、一緒に居られなかったから、今日は一緒に居ちゃ駄目...かな...？」
少し恥ずかしそうに言うA
本当に狡いでA
そうやって言うから、俺はAの事が諦めきれないんやで？
今にでも抱き締めたいわ...
「...Aがええんなら俺もええで」
そう答えるとパァと顔が明るくなる
俺は、その笑顔が見たくて依存して、過保護になったんよな...
Aが俺の事好きだったら、どんなに幸せやったろうな...
そんな事を考えるが、後夜祭でやると決めたものはもう変えられへんし
大丈夫、Aが拒絶してきても、もう悔いはあらへんから
Aと離れんのは、そりゃ嫌やけど言わんのも嫌やし
ただ、俺は、Aの笑顔が見れればええ
例え俺に向けた笑顔でなくても、その笑顔が絶えなければ...ええんや
思わず、思いと比例して手が動く
Aの頬にそっと、手を添える
「？どうしたの？」
「...ん〜？
Aは笑顔が似合うなぁ、って」
そういうとふふ、と上品な笑い声が聞こえる
綺麗で、でも少し幼さが残っていて
無くしてはいけい、そんな笑顔
「ありがとう
鬱も、笑顔が似合うよ」
そう笑ってAは言った
あぁ、俺の言葉でAの笑顔を壊したくないわ
その日は結局夕方までAと過ごした
そして時は過ぎ、文化祭当日
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