◇２３． ページ23
「...A？」
「だって、本能が逃げろって言った」
「えぇ...」
反射的に鬱の後ろに隠れると、心配してくれたのか顔を覗いて聞いて来る
それに対して本能的に、と言う
鬱は困惑したように呟くが、文句も言わずただただ見守ってくれる
「ちょっとグルッペン、行き成り話しかけるからAちゃん怖がっちゃったじゃん」
「は？え？これ俺のせいか？」
「それ以外考えられると思う？」
ひとらん先輩が私に話しかけて来た人に少し怒っているような声色で言った
「...グルちゃん、Aは本能で逃げたみたいやで
つまり、本能がグルちゃんを拒絶してるみたいやで」
鬱の背中から私に話しかけて来た人を見てみる
ひとらん先輩に正座させられている人が見えた
金髪に碧眼、眼鏡を掛けている
「お、A、あれがグルッペン
グルッペン・フューラー、生徒会長やで」
「......え？生徒会長？あれが？」
私がまぁまぁ大きな声で言うと全員がこっちを見た
「A...せめて生徒会長の顔くらいは覚えておきぃや」
「いや...えぇ...」
関心の無い物、人の名前を覚えるくらいの脳の隙間は無い
一々生徒会全員の名前を覚えてたって仕方ない
しかもクラスの人の名前すらうろ覚えなんだよ
そんな人に生徒会役員全員の名前を覚えろ？無理
興味が無いんだもの
「...いくら興味が無いって言ったって、流石に生徒会は覚えておかなきゃよ」
「いや、生徒会は分かるよ
でもさ？顔なんて分かんないしだって全校で約3000人だよ？無理無理
それに名前だって勉強以外で覚えるのも脳の余裕があったらだし」
佑月が言って来るのに対して言うとはぁ、と溜息を付かれる
だって、本当じゃん
「ま、座りな？」
ひとらん先輩が言うので佑月の隣に座る
すると佑月とは別の隣に鬱が座った
鬱は私が作ったお弁当
佑月は普通にお母さんが作ってくれているお弁当を出すが私は食べないのでスマホを開く
数秒しか経っていないと言うのに誰かが言ったのだ
「これより、一ノ瀬Aさんへの質問コーナーを始めまーす
適当にどうぞ」
と、
...いや、は？
何質問コーナーて
「あ、じゃぁ俺から
佑月とは知り合い？」
ひとらん先輩が最初に手を上げ聞いて来た
あ、そういうスタイルですか
「はい、佑月とは中学からの仲です」
そう答えると
「やっぱり、だから仲がよさそうだったんだね」
と帰って来た
他の人も以外そうだった
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