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彼はスマホを弄りながら時折顔上げキョロキョロしたあと、
私を見つけるとハッとして駆け寄ってきた。
知｢あの……Aさん？昨日助けてくれました、よね？｣
昨日と変わってすっかり元気そうなった知念くんで。
改めて見ると本当に整った顔してる。
キャップで潰された前髪から覗く立派な眉毛に
しっかりしたお鼻、きゅるきゅるのお目目。
苦しそうな顔でも美形だったから
普通にしてれば当然もっと綺麗な顔してる。
知｢連絡したのに｣
そう言って知念くんはスマホをヒラヒラさせる。
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春名 A 090-****-****
万が一何かあったら連絡してください。
無ければ消去してください。お大事に
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昨日知念くんが寝てる(?)間に
自分のスマホのメモに書いたものを
知念くんのスマホで撮ったものだ。
ロック解除できなくてもカメラは開けるし、
咄嗟に思いついたのがこの方法だった。
｢すみません……今日スマホ全然見てなくて｣
知｢ご丁寧に、良い人だね。｣
｢でもなんでここが……｣
知｢これ｣
差し出されたのは私の社員証。
知｢昨日落としたみたい。返さなきゃだし、ちゃんとお礼したかったから｣
｢家に忘れたのかと思ってた…！ありがとうございます！｣
知｢こちらこそ、改めて昨日はありがとうございました。｣
｢いえ、元気になったみたいで？よかったです、それじゃ｣
お礼を言い去ろうとすると
知｢待って｣
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作者名：悠 | 作成日時：2023年9月16日 5時
