2.5次元 (ページ35)

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ﾌﾟﾙﾙﾙﾙ…ﾌﾟﾙﾙﾙﾙ…

侑李、出ない。

他の人の連絡先、知らない。

いや、冷静に考えたらこの時間に電話するなんて迷惑極まりないよね

そりゃそうだ、そんな都合良く助けてもらおうなんて
私はあんな良い人達になんてことをと申し訳なくなってコールを切る。

もう少し休んで気合いで立ち上がろう

そう思った矢先

『大丈夫ですか？』

声をかけられ顔を上げると

肩から大きな荷物を下げてマスクをした背の高い男性。

目元が印象的な若いお兄さんだった。

｢すみません、ちょっと気持ち悪くて…大丈夫です｣

『大丈夫じゃないでしょ、顔真っ青だよ』

隣にしゃがみこむやいなや、
擦りむいた私の手を見て

『……血、』

｢あ、転んじゃって、はは、｣

転んだなんて子供じゃあるまいしと
口に出した途端恥ずかしくなって笑って誤魔化すと

彼の目は赤くなっていて
喉をごくんと鳴らしていた。

｢……え｣

思わず声を漏らせばハッと顔を逸らし、『いや…』と呟く。

ほんの数秒気まずい空気が流れたあと、
沈黙を破ったのは私の携帯だった。

手に持ったままの携帯から着信音が流れ、
2人とも思わずそちらに目線を向ける。

画面には"知念侑李"の表示。

『え、知念と知り合い？』