2.5次元 (ページ1)

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ｶﾀｶﾀ……ｶﾀｶﾀ……

気づけば21時を過ぎ、ほとんど帰ったけど

フロアにはまだちらほら人がいる。

よく働くなぁなんて思いながら自分もそうかと気付き、
さっさと帰ろうと席を立って

お先失礼しまーすって足早に会社を出て駅へ向かう。

早く帰りたいから大通りじゃなくて
ショートカットで行こうと1本道をずらすと

少し先の道端で蹲ってる人影が。

9月頭、まだ夏の面影はあれど
この時間じゃ当然辺りは真っ暗で

少し路地に入ったところのこの場所じゃ街頭も少ない。

人影を見ても反対側を歩く人はチラリと見るだけで
声もかける様子もなくて

目の前の光景を見たら、東京の人は冷たいなんて言われても
そんなことないなんて言い切れないなあとふと思う

まぁ遠目じゃ男か女かもわからない、

酔っ払いかもしれない、迂闊に声かけるのも
躊躇う気持ちもわかるけど……

通り道だし、さすがに無視するのもと思い小走りで駆け寄る。

｢大丈夫ですか？｣

声かけて顔を覗き込んでまずビックリした。

すっっっごい綺麗な顔立ちの男の子。

が心臓潰す勢いで胸を押さえて苦しそうに
息を乱してるもんだからさらにビックリした。

｢だっ大丈夫ですか？！？！｣

途端に慌てて距離を詰めると

艶のある真っ黒な前髪の隙間から苦しそうに
チラリとこちらを見上げ目を見開いたあと

？｢ﾊｯ、こっ、来ないで……｣

息も絶え絶えそう呟いた。