五十八 ページ10
いつか言われる気がしてて、いつも言わずにいてくれたこと。
この人だから言えることがある。今の私だから口に出せることがある。
「あー…、一瞬だけ、お姉ちゃんみたいにって憧れたことはありましたけど、でも私はどうやってもお姉ちゃんにはなれないことをちゃんと分かっていましたから。
夢や希望だけではどうにもならない裏側だって知っていたし、ファンのためだけに色んなものを我慢して笑い続けるなんて私には到底できることではないと悟りました」
う「そっか」
「お姉ちゃんはかわいい。輝いてた。努力のすばらしさを教えてくれた。
そうはなれないから私は、綺麗事くそくらえって歌を歌い続けようと思ったんですよ。お姉ちゃんが見せられなかった、もしかしたら隠して閉じ込めていたかもしれない不条理や理不尽や苛立ちなんかを」
う「……お前はもう少し、幸せを喜べるようになんないとな」
「幸せですよ、充分今ハッピーです」
う「ほんとかなぁ」
「ほんとに。ほんとに幸せですよ、あなたの隣にいれて」
うらたさんは少し目を見張って、それから柔和に微笑み、私の頭から頬までを何度か撫でた。
う「さっき、何言いかけたの？」
「あ、いや……。いや、言うか」
う「ぜひ」
「私、後悔とか挫折とか、悲痛とか苦闘とか、理不尽とか不条理とか、そんな濁ったもんばっかなの込めて歌ってきたから、いきなりハッピー全開のキュートな歌とか歌詞とかは書けないけどさ、ほんとに今幸せだから、頑張りたいんだ」
う「うん。変わろうとしてるんだろうなってのはわかってる」
「でも、お姉ちゃんのことを散々利用したのに幸せになろうとしてる自分が気持ち悪くてしかたないと思ってるふしもある。……し、だんだん忘れてる時間が増えてることにビビってもいる」
う「うん」
「こんな女はあなたに相応しくないと思うし、もっと別の素敵な人と出会って笑ってる方があなたは幸せになるだろうなとも思う。それでもいいとも」
う「そんなことないけど、そう思うんだ」
「うん。でもね、でも………」
う「うん。ゆっくりでいいから。ちゃんと待ってるから」
「とか言って、一週間しか待ってくれなかったくせに」
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ななき。(プロフ) - かんずめさん» コメントと完走ありがとうございます！いつもとても励みになってます！作品の更新を喜んでもらえていると思うとやる気がでて来ます！次作はなかなか挑戦的な作品になりそうです…喜んで貰えますように…… (2022年1月16日 20時) (
レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
ななき。(プロフ) - ロツイナさん» コメントありがとうございます！返信が遅くなりすみません…汗 主人公ちゃんに共感する部分があったんですかね？！少しでもあなたに寄り添えるような作品になっていると嬉しいです！ (2022年1月16日 19時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
かんずめ(プロフ) - 完結おめでとうございます！この作品が好きすぎて、更新される度に嬉しかったです！今回もお疲れ様でした。次も楽しみにしています！ (2022年1月15日 19時) (レス) @page13 id: 6f646e69ca (このIDを非表示/違反報告)
ロツイナ - 続編おめでとうございます!この作品めっちゃ共感できて、大好きです…！これからもななき。さんのこと応援してます！ (2022年1月11日 22時) (レス) @page4 id: 05ff15d5eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ななき。 | 作成日時：2022年1月11日 15時
