JACKALOPE【歌い手】

三十七《senra side》 ページ38

当時の配信は生放送だったこともあり消されているが、切り抜きはいくつかされていてとかくんリスナーの中ではトリセツの第三章くらいに書かれてるくらい有名な話。




セ「そうだ、久しぶり見て見よーっと」

「お、おいおい、嫌がらせにも程がある…」




そう言いつつそっぽを向くAさんの耳はアルコールが入ってないのに既に赤くなっている。照れてるAさんは割とかわいい。構わずスマホで検索してタップした。




う［……なぁ、こいつが言わねぇから言うけどさ、とかくはお前らの推しだからって、操り人形じゃねぇんだけど］

［ちょ、うらたさん…？］

う［とかくは優しいからキャラじゃないこともノリに合わないこともリスナーが望むならってやるけど、本当のとかくを好きになれねぇならとかくリスナー名乗るなよ］

［うらたさん…、も、もういいですよ］

う［よくない。お前がいいように使われてるの見てられないんだよ］

［いや、でも…リスナーが怖がってるし……］

う［だからなに？毎回毎回型にはめられてきつくなって動きずらそうじゃん］

［そ、れはそうだけど……］

う［リスナー、よく聞いて。夢見るのは勝手だよ？期待したっていい。俺たち演者は反応してくれるのがとっても嬉しいよ。でもさ、でもね？こっちがこれが好きって言う前に『貴方にはこれが似合うからこれやって！』って感じで来られると、それじゃないと認めないって言われてるみたいできついんだよ］

［……］

う［とかくも俺も君たちの理想のアバターじゃない。生きてる人間なんだよ。とかくはとかくのまんまで十分魅力があるから、彼女自身を見てあげてよ］

［うらたさーん、そんなこと言われて私が面白くない人間なのばれるじゃないっすかw］

う［お前はお前なんだから、演じることないから］

［……そういうのは裏でやってくださいよ。反応困る…w］

う［かっこつけがよ］




ふたりして笑うところまでがセット。戦友ってバチバチな雰囲気はなく、先輩後輩ではあるけどそんな畏まった感じもなく、人ひとり分、ふたつ分くらいの距離で顔を見合わせて微笑み合うような。

うらたんは彼女のために怒って、Aさんは彼のために笑う。それが当たり前。

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