三十三 ページ34
服の中に冷たい風が入り込んで思わずぎゅっと体を縮こませた。
「はい、Aです。……お母さん。なに？なんかあった？」
母［あら、なんかなきゃ電話しちゃいけないのかしら？］
「そんなことないけど、めったにないから何かあったのかと思って」
母［いやだからその……一人暮らし、大丈夫なの？最近その辺で一人暮らしの女性を狙った事件があったってニュースで見て］
「大丈夫だよ。オートロックしっかりしてるとこだし。それだけ？」
母［それと、ちゃんと食べてるの？あんたはお腹がすいても寝ればいいと思ってるから。そもそもちゃんと寝れてるの？配信、夜が多いみたいだけど…］
「なに、見てるの？ 恥ずかしいからやめてって言ったのに」
母［み、見てないわよ。見るとあんた怒るじゃない。ただ通知が来るから……］
「見ないなら切っとけばいいのに」
母［だって気になるじゃないの、娘が仕事にしてることなんだから］
「………心配してくれてありがとう。でも大丈夫だから。友達待たせてるしもう切るね」
母［あ、ちょ、なにか送ってほしいものはあるの？誰かいい人は？孫は見せれそうなの？ねぇ、Aちゃん？ ちょっと…！］
電話を切ってお店の壁に背を着く。相変わらず心配性の母だ。昔は私の事なんてそっちのけで姉のことばかりかまっていたのに。
……なんて、矛先がこっちに向いたら向いたで鬱陶しくなるものだ。
あの感じだと配信聞いてるし、CDも持ってるんだろうな。お姉ちゃんの時も雑誌の切り抜きからテレビの録画から、CMまで全部撮ってしまいこんでた。ラジオパーソナリティになった時なんてやってる家事の手を止めてイヤホンで聞いていた。
家に台本やCDが増えるのと比例するように姉は家にいる時間がどんどん減っていって、テレビの中の姉はいつも大勢の人に囲まれて楽しそうに笑っていて、私はちょっとずつスターになって活躍している姉を見て、嬉しかったのに寂しかった。
大好きな姉が、ずっとうんと遠くの方で、私の知らない人たちと私の知らないことで笑っている。それに耐えられなくて、"馬鹿げたこと"を願ったんだ。私だけのお姉ちゃんじゃないなら……って。
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ななき。(プロフ) - かんずめさん» かんずめさん！お久しぶりですー！だいぶご無沙汰しておりました。なんて嬉しいお言葉！好きなものを好きなようにかける環境があるのもかんずめさんのような読者さんがいてくれるおかげです。コツコツ書いていこうと思います！今作もよろしくお願いします！ (2021年12月26日 23時) (
レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
ななき。(プロフ) - しおさん» お久しぶりですしおさん！長らくお待たせしまってすみません…。そう言っていただけると自分のペースで頑張れます！色んなところで雪降り出しましたね。たくさん服着込んで作品作り頑張らせていただきます！ (2021年12月26日 23時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
ななき。(プロフ) - 緇さん» はじめまして！コメントありがとうございます。たくさん読んでくださっているんですね？！ご期待に添えるように今回もがんばらせていただきます！(貴重なご意見ありがとうございます(´▽`人) (2021年12月26日 23時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
かんずめ(プロフ) - お久しぶりです。久々にななきさんの新作が出て舞い上がりました。ななきさんの作品が読めるだけでも嬉しいので、躊躇なく好きなように投稿してください！どの界隈の作品も好きなので！語彙力がなく上手く伝わるかどうか不安なのですが、無理はしないでください。 (2021年12月23日 20時) (レス) @page1 id: 6f646e69ca (このIDを非表示/違反報告)
しお(プロフ) - ななきさんの作品が読めるこの環境だけで大変ありがたいことなのでどうぞお好きなようにしてください！毎日寒いですし、お体には十分ご留意くださいね (2021年12月23日 19時) (レス) id: 3a34b78acf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ななき。 | 作成日時：2021年12月23日 17時
