三十九《kuzuha side》 ページ39
完璧にこっち空気なんだけど、気まず過ぎる。叶を見ると同じことを考えるのか声かけるタイミングを見計らっていた。
叶「Aちゃん、盛り上がってるとこごめんね、僕らもういくね」
「あ、すみませんかなさん、レオも」
葛「……おう」
秋「あれ、ナンパじゃなかったんだ。知り合い?」
「このふたりは今の職場の同僚です」
秋「へー、顔いいからてっきり」
「その勘違い前もしてましたよ?間に入ってきた時は少女漫画読みすぎかよって爆笑しましたっけ」
秋「別会社に大学生の知り合いいるとは思わないだろ…」
「思い込むくせ治りました?」
秋「あいっかわらず減らず口だな。あ、この後なんかある?こいつら指導してやってよ」
「えぇー?もう会社の方針とか変わってるでしょ」
秋「仕事の仕方ってやつだよ。真面目なのはいいんだけどやりすぎる節があるから」
「なるほど、そういうことなら。ついでに先輩のいいとこ後輩くん達に教えましょう」
秋「余計なことはいらん」
「弱点の方がいいっすか?」
秋「まじやめろ」
ふたりの会話からそっと離れようとしたところで袖を引かれた。振り返るとAがいつもふたりの時に見せる顔で見つめて来た。
「レオ、帰ったら電話する」
葛「……あー……出れんかも」
「終わってからにするよ」
葛「何時になるかわかんないし…」
「いいよ。何時でも」
意図が分からない。とりあえず頷くとニコッと笑って手を離した。
「で、どこ行くんすか?居酒屋?」
秋「お、おぉ、あー…いや今更お前にカッコつけてもどうしようもねぇし、居酒屋な」
「最近行ってなかったなー。後輩くん、先輩は食の趣味だけはいいから、期待しな?」
後輩「「「はい!」」」
雑踏の中に消えていくAを横目で見ながら歩き出す。
叶「よかったね」
葛「なにが?」
叶「ちゃんと恋人らしいじゃん」
分かってる。知らない男と話してるのに俺が嫉妬めいたことを感じたこと。
Aはそれに気づいてかどうか分からないけど勘違いしないようにああ言ったこと。
これは明らかにそういう間柄だから出来たことだ。
それでも何故か肯定するのが気恥ずかしくて、沈黙の後「……どこがだよ」と呟く。バラバラの足音に紛れて隣の男の笑い声がやけに響いて聞こえた。
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ななき。(プロフ) - みりんさん» コメントありがとうございます!大人の方にも響く作品を作れたのかと思うと嬉しくなります!またお会いできるようにVTuberの作品頑張りますね!のんびりお待ちください…! (2022年1月17日 16時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
ななき。(プロフ) - ミウラさん» コメントありがとうございます!返信遅くなりました…汗 意味わかんないくらい好きって初めて言われた気がします笑 VTuberの作品また書こうと思ってるのでのんびり待っててください! (2022年1月17日 16時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
ななき。(プロフ) - とこまるさん» コメントありがとうございました!すっかり遅くなっちゃってすみません!近々VTuberメインのお話書く予定です!葛葉さんメインもまた書けたらいいなと思ってるので気長にお待ちください! (2022年1月17日 16時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
みりん - ヤバい、なんか知らんけど泣けてきた。ちなみに今34です。( ;∀;) (2022年1月17日 14時) (レス) @page34 id: cab5b300e5 (このIDを非表示/違反報告)
ミウラ(プロフ) - 意味わかんないくらい好きです (2021年11月6日 22時) (レス) @page50 id: 3103cb23ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ななき。 | 作成日時:2021年8月3日 21時