二十九《kuzuha side》 ページ29
葛「お前さ、こういうの平気な人間?」
「こういうのって?」
葛「他人の家も泊まったり、飯作ったり、距離が近かったり、急に襲われたり」
「前半3つは友達とかならあるかな。ただ最後のはイレギュラーすぎて」
葛「質問を変える。他のやつに襲われても平気で笑ってられんの?」
「んー……人命救助なら、ギリ、協力はするかな。笑ってはないだろうけど」
そんなの、暗に、俺が特別だと言ってるようなもんじゃねえか。
葛「……なぁ、お前ってさ、俺のこと好きなの?」
恐る恐る尋ねるとAは一瞬目を見開いて、それから柔和に微笑んだ。
彼女はいくつも笑顔を持ってる。たくさん同じ時間を過ごしてきたのにまた新しい表情だ。まだあとどれだけ知らないんだろう。それとも俺が違った顔をさせてんのかな。それは気分がいい。
「やっと聞いたし」
葛「やっと…?」
「いつ聞いてくんのかなぁってずっと待ってたんだよ。意外とかかったね。すぐ聞かれるもんだと思ったのに。もうずっとこんな関係が続くと思ってた。それもまあいいかなって思ってたところだったんだけど……」
葛「……つまり」
「たぶん、好きなんだ思う。恋愛的な意味で。あいにくこれが憧れとか興味とかそういうのも含まれてたりして、純粋かは分かんないけど、でも私は、ずっと前から君が好きです」
泣いてて、笑ってて、今は真剣な目をしてる。
みんながすきで、みんなをすきで、たったひとりなんて選ばないんだと思ってた。すきになってくれた人をすきになって、離れていけば簡単に思い出にする。そんなタイプだって。
俺は彼女のことをよく知っている方だと思っていたけど、まだ何も理解出来てないようだ。この表情や考え方と同じように。
俺は知りたい。たくさん、全部知りたい。強欲な願いかな。
葛「俺は……」
「ストップ!」
葛「え?」
「答えは急がないから。また今度でいいから。うん、おけ?」
葛「はい?」
「よーし、私帰るわ。勢いで来たけどなんかやっぱ言葉にした途端急に恥ずくなってきたから、うん。じゃ、服はまた取り来る。うん、ほな!」
葛「あ、おい!」
そのままカバンを掴んで部屋着のままいなくなってしまった。残された俺の「えぇ…?」という困惑した声が部屋に広がる。
まじで俺はあいつのことを、
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ななき。(プロフ) - みりんさん» コメントありがとうございます!大人の方にも響く作品を作れたのかと思うと嬉しくなります!またお会いできるようにVTuberの作品頑張りますね!のんびりお待ちください…! (2022年1月17日 16時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
ななき。(プロフ) - ミウラさん» コメントありがとうございます!返信遅くなりました…汗 意味わかんないくらい好きって初めて言われた気がします笑 VTuberの作品また書こうと思ってるのでのんびり待っててください! (2022年1月17日 16時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
ななき。(プロフ) - とこまるさん» コメントありがとうございました!すっかり遅くなっちゃってすみません!近々VTuberメインのお話書く予定です!葛葉さんメインもまた書けたらいいなと思ってるので気長にお待ちください! (2022年1月17日 16時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
みりん - ヤバい、なんか知らんけど泣けてきた。ちなみに今34です。( ;∀;) (2022年1月17日 14時) (レス) @page34 id: cab5b300e5 (このIDを非表示/違反報告)
ミウラ(プロフ) - 意味わかんないくらい好きです (2021年11月6日 22時) (レス) @page50 id: 3103cb23ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ななき。 | 作成日時:2021年8月3日 21時