FRIEND ZONE【VTuber】

二十五《kuzuha side》 ページ25

葛「風呂入れば？」

「え、あー、………ほんとに泊めてくれるの？」

葛「うん」

「………私が言うのもなんだけどもっと人を疑いな？」

葛「疑ってるけど、常に。人間だけじゃなく」

「いやそういうことじゃ……私が言うことでもないか。おけ、なんか服貸して？」

葛「ジャージでいい？」

「クタクティー？」

葛「仕方ねぇな、新品未使用品を出してあげよう」

「うぇーい」




まだ袋に入ってるジャージを開けて渡すと、案内された通りとたとたと風呂場に入ってく。扉の外からシャンプーがどれだとか指示を出してリビングに戻る。

飲みかけのグラスを傾ける。やっぱ酒は不味い。よく平気で飲めるよな。アテをつまみながら適当にツイッターを見てるといくつかイラストが流れてくる。

誰かの雑談を再現したイラスト。コラボの見どころ。妄想捏造。こうしてみるとみんな色々やってるし、楽しそうだし、何よりなんでこんな絵が上手いのかわからん。



ちょっと気になって俺とAのイラストハッシュタグを並べて検索かけると、結構な数のふたりのイラストが出てきた。戦ってるやつ、雑談してるやつ、妄想に捏造……。




［Arkの動画見返して、見つけたAの雑談配信見て速攻で書いた］




ArkはA参加してなかったはずだが……どういうだろうと見てみたら、空の上でドラゴンに寝転がってるイラストだった。その下で俺たちが戦ってる。

他にもあるのかと俺のタグを消してArkでかけるとこれまたたくさん出てくる。

まるでその場にいたかのようにAが描かれていたり、Aだけバグったみたいな加工がされてあったり、俺たちの戦ってる様子をパソコンの向こうから見てるイラストだったりする。

ひとつの切れた漫画が目に入って、左上をタップして開いてみる。



俺とAが戦ってて、ボロボロになって寝転がって、『次は何する？』って目をつぶりながら話してる。そこにひとりずつアレクシードファミリアの面々が現れて俺を囲んでいく。
俺は驚いたり焦ったり呆れたり嬉しそうだったりする。

やがて俺は起き上がってみんなと歩いていった。途中一度振り返ってAに声をかけようとする。だけどAは寝転がったまま手を振った。

『行ってこい』『じゃあな』『がんばれよ』……セリフは書いてないけど、そんなことを言いたげな顔。俺は鼻で息をついてからみんなの方へと駆け出した。

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