陸拾壱 ページ13
ま「しょうがないなぁ」
手を繋いできた。手と言っても人差し指と中指を引っ掛けるだけだけど。
それをぼうっと見てると、「ほら行こう」と引っ張ってくれる。彼の精一杯なのか、それとも自分に気を使ってくれたのか。
ま「あ、ホタテだって。牡蠣もある！食べたいなー」
「七輪でも買って帰りますか」
ま「え、危なくない？」
「冗談だよ。ホットプレートでホイル焼きにでも………」
ト「おっちゃん！これ3つくださいな！…わぁ〜、ありがと〜」
「……まふさん、壁になって」
ま「え、か、壁？」
ト「あ、並んでましたか？お兄さん、見ない顔ですね！」
ま「ええっと……」
ト「ん？後ろにいるのは妹さん？」
ま「あー…妹じゃなくて…」
ト「もしかして彼女さんでしたか？これは失礼しました！いいですね、カップルで海市なんて。楽しんでってくださいね！では〜！」
ま「あ、ありがとうございます。……行ったよ」
「みたいだね」
ま「どなたって聞いてもいい感じ？」
「…トウカさん。……Aにパン作りを教えてくれてたひと」
ま「あぁ、話してたね。なんで隠れるの？」
「え…」
……確かに、なんで隠れたんだろう。別に隠れなくてもよくないか？
ま「……なんか、気まずかった？」
気まずかったのか。
「……どうでもいいよ、もう関わることないし」
ト「そうなんだ。私たちってもう関われないんだ」
「…っ、……トウカさん」
ト「見覚えのある服着てるなと思って。もう会いたくなかった？」
「………困るのはそっちだと思って」
ト「Aちゃんが守ってたヤコウさんのお店を私なんかが続けるから？」
「ほら、『なんか』なんてあなたは言わない人だったのに」
ト「そう、だね…」
しまった。これは言うべきじゃなかった。
ト「Aちゃんの隣にいると自信をなくしそうになるよ。海外に行ったのだってもっといいものを作りたいって言ったけど、本当はAちゃんから逃げたかったのかもしれない。頑張んなくてもやれちゃう君の隣で努力することが恥ずかしくなったのかもしれない。でも」
「『自信を無くす』『逃げ出したい』『恥ずかしくなる』……Aは、頑張ってる人のそばにいちゃいけない」
ト「Aちゃん、違うよ」
「何も違くない」
間違ってない。
ま「A！」
ト「Aちゃん、待って！」
いなくなることで喜ぶんじゃないの？ そうでしょ？
せめて笑っててほしいんだ。
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ななき。(プロフ) - ゆうさん» 私の作品で笑って泣いていただけているのかと思うと私もぐっときます！コメント感想ありがとうございます！ (2021年12月28日 22時) (
レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - めっちゃ面白いです。本当に泣きました。完結おめでとうございます。 (2021年12月27日 21時) (レス) @page21 id: ff8e58fd81 (このIDを非表示/違反報告)
ななき。(プロフ) - ロツイナさん» 最後までご覧くださりありがとうございます！大好きだって言ってもらえて終わりを惜しんでもらえるなんてとても嬉しいです！他の作品も良かったら楽しんでってくださいませ！ (2021年9月19日 22時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
ロツイナ - 完結おめでとうございます！ずっと大好きな作品です、終わってしまうのはちょっと切ないですが、最後までこの作品を読んでいて楽しかったです！ありがとうございました! (2021年9月17日 18時) (レス) id: 05ff15d5eb (このIDを非表示/違反報告)
ななき。(プロフ) - かんずめさん» かんずめさん、コメントありがとうございます！いつもほんとに励みになっています！満足していただけて光栄です。これからもそう思って貰えるようにがんばりますね！次回作も良ければみてやってくださいませ！ (2021年9月16日 22時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ななき。 | 作成日時：2021年8月21日 22時
