伍拾玖 ページ11
グラスにまたボトルを傾けようとしたら、まふさんが重厚な扉からゆっくりと出てきた。
ま「あ、出来てる。ありがと」
「いえいえ。ワイン飲む？」
ま「まだいい。完成したら一緒に飲もう」
「おーけー」
ま「……あれ、誰か来てた？」
「ん？あぁ、そらさんがね。ちゃんと食べてるか心配してた」
ま「あ、返信してなかったかも。……そっか」
「どした？会いたいなら呼んでくるけど。さっき出ていったからまだ下にいるだろうし」
ま「……うんん。それよりちょっと背中貸して」
「背中？…お、っと……なになに、どうした」
ま「ちょっとね、人肌安心する………」
まふさんは自分の背中にぺたりとくっついた。首を後ろに向けると長いまつ毛をふせさせてるのが分かる。
寝る間も食べる暇もないほどやりたいことがあるってやっぱり大変そうだ。でも彼にとってそれは酸素と同じなのかもしれない。正解はないくせに不正解はある世界で、必死に"自分"を見つけようとしてる。伝えようとしてる。
過去の自分が言えなかったこと。
未来の自分が我慢しなくていいように。
彼の歌は、救いだ。
この世界の誰かの心にマッチほどの温もりを灯す。
「ごめんね」
ま「なんで謝るの」
「Aが、君の痛みがもっと分かってあげられる人間だったら良かったのに」
ま「……ばかだなぁ。そう思ってくれてるってことが、僕はたまらなく嬉しいから」
どれくらいそうしてたか分からないけど、やがてまふさんはゆっくり離れた。
ま「これ、美味しそう。何作ってくれたの？」
「グリッシーニ。夜だから軽めに食べられてお腹にたまるものがいいと思って。あ、こっちからアボカド、サーモン、味噌マヨ、レモンとクリームチーズ、これは普通にオリーブオイル。いけそう？」
ま「うん、ありがと」
「お礼言いすぎ。雇われてんだからそれくらいするって」
ま「……そうだね」
心なしか肌色が良くなったように思う。魂削ってるんだな。
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ななき。(プロフ) - ゆうさん» 私の作品で笑って泣いていただけているのかと思うと私もぐっときます！コメント感想ありがとうございます！ (2021年12月28日 22時) (
レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - めっちゃ面白いです。本当に泣きました。完結おめでとうございます。 (2021年12月27日 21時) (レス) @page21 id: ff8e58fd81 (このIDを非表示/違反報告)
ななき。(プロフ) - ロツイナさん» 最後までご覧くださりありがとうございます！大好きだって言ってもらえて終わりを惜しんでもらえるなんてとても嬉しいです！他の作品も良かったら楽しんでってくださいませ！ (2021年9月19日 22時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
ロツイナ - 完結おめでとうございます！ずっと大好きな作品です、終わってしまうのはちょっと切ないですが、最後までこの作品を読んでいて楽しかったです！ありがとうございました! (2021年9月17日 18時) (レス) id: 05ff15d5eb (このIDを非表示/違反報告)
ななき。(プロフ) - かんずめさん» かんずめさん、コメントありがとうございます！いつもほんとに励みになっています！満足していただけて光栄です。これからもそう思って貰えるようにがんばりますね！次回作も良ければみてやってくださいませ！ (2021年9月16日 22時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ななき。 | 作成日時：2021年8月21日 22時
