肆拾漆《sakata side》 ページ48
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《sakata side》
そらるさんの袖を掴んで、彼の影に隠れるように現れた彼女は少し脅えていた。
そ「ほら、着いたよ」
「……はい」
恐る恐る顔を上げ袖からステージを見る。視線の先には今登場したばかりのアオくんがいて、お客さんと楽しそうに話している。
蒼「最近ゲームやりすぎて、コメ欄でたまに歌をやるゲーム実況者だと言われてるらしいんだけど知ってる?
え?それずっと?……ボビンたちが?広めてんの?……おい!お前らはせめてこっち側だろうが!え?ゲームの方が上手い?やかましいわ強くは言い返せないんだよ!」
飽きさせないトークに軽やかなテンポ。リスナーには友達のように軽く声をかけ、他担には丁寧に問いかける。アオくんはこの界隈でも一二を争うほどのトーク力の持ち主だ。
蒼「じゃあ、歌うか。唐突にw えー、歌よりゲームが上手いでお馴染みのアオイトが今から歌いますよー。これを聞いた方はぜひ、アオイトは歌い手だと広めてくださいねー。
……でーは、俺らしい元気なやつでいきますかね。【レオニド】」
ライオンのように力強い声。鳥肌が立つようながなり。広いステージにたったひとりで立っているのに、そう感じさせない存在感と迫力。
蒼「ありがとうございました〜。レオニドでした。拍手ありがと。ペンライトも!めっちゃ勇気出てきます。この興奮冷めやらぬうちに次の曲行っちゃおうかな。【no lento】」
よく通る声。爽やかで伸びやか。澄んだ冬の夜の気配。流星群のように誰もが見上げる存在。さっきまで叫んでいた観客のみんなの瞳にキラキラとハイライトが輝く。
蒼「ありがとうございました。no lentoでしたー。あれ、みんな静かすぎない?もしかして見惚れた?それとも惚れた?…ちょっ、冗談だって。そんなシラケた顔すんなよ〜」
清々しいほど無邪気な表情。いたずらっ子のような顔から焦った顔にころころ変わる。なんて魅力的なんやろう。距離は近いのに憧れさせる、それがアオイトの最大の魅力だろうと思う。
ちらりと彼女の方を見ると、ただ真っ直ぐ彼を見つめていた。笑顔のアオくんに対して何かを受け入れようと必死な顔。隠れブラコンっぽいけど、何を恐れているんやろか。
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甘蜜 蜜華(プロフ) - あ、あぁぁぁぁ!!!好き。ななき。さんの作品好きです。もう全部好きです。 (2021年1月24日 9時) (レス) id: 80388bac17 (このIDを非表示/違反報告)
ななき。(プロフ) - しおさん» ありがとうございます!返信遅くなり申し訳ない…!少しですが楽しんでくだされば嬉しいです!今回もよろしくお願いしますね! (2021年1月23日 18時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
しお(プロフ) - 新作…それも、それも、ド派手で愉快な3人組が…!!!!!!!!今作の世界観を構成する要素として彼らが選ばれたことが本当に嬉しいです、楽しみにしてます〜!! (2021年1月16日 0時) (レス) id: 33c3a138b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ななき。 | 作成日時:2021年1月15日 14時