肆拾肆 ページ45
疲れ気味の瑠璃子さんを引っ張って会場まで連れてくる。そこにはスタッフさんと警備員さんがいて、私はその前に走って駆け寄る。
「…はぁ、はぁ……すみません!この人、体調が悪い私を助けてくれて会場入れなかったんです。入れてあげてください」
スタッフ「体調?君が?全力疾走しているように見えましたけど」
「この人のおかげで回復してたんです。他にも他のファンの方とトラブルになりかけたところを助けてくださって」
ス「……そういう事情でしたら。チケットはありますか?」
「瑠璃子さん!チケット出してください」
瑠「チケット?チケット………あ、ミヨさんに預けたカバンの中に」
「嘘でしょ……。ミヨさんってあのケバい人?」
瑠「ケバ……あー、確かに化粧は濃いけど」
ス「正当が理由がある場合の再入場は認められますが、チケットの提示が出来ないと申し訳ありませんが許可することは出来ません」
「ケバい人呼んでくることは出来ないですか?」
ス「おそらく難しいかと……」
他に手はないか?なにか、なにか……。
瑠「コンちゃんもういいよ。必死になってくれてありがとう」
「でも……」
瑠「ライブはまたある。あの人たちは何度だって私たちを喜ばせてくれる。また来ればいいんだから。それに外からでも音は聞こえるし、見えなくっても雰囲気は味わえるから」
「でも、でも…っ…」
瑠「コンちゃんありがと〜!コンちゃんに出会えたってだけでここに来れたことに意味があるんだよ」
そう言って頭を撫でてくれる瑠璃子さんはまた笑っていた。
私を守るための強がりだろうか。本当にそう思ってくれていたとしても、彼らに会える方が何億倍も意味があるし幸せだったに決まってるのに。
私はこの人のように強くなれない。ここまで尽くすことは出来ない。
なにか、なにか彼女にできることは……せめて私がチケット持ってれば……。
「あ……」
瑠「ん?」
「あぁ〜〜!!」
瑠「どうしたどうした」
「私持ってる!持ってるよ!」
瑠「お、おう、そりゃあチケットないとここまでこないよね?」
「これ、これダメですか!」
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甘蜜 蜜華(プロフ) - あ、あぁぁぁぁ!!!好き。ななき。さんの作品好きです。もう全部好きです。 (2021年1月24日 9時) (レス) id: 80388bac17 (このIDを非表示/違反報告)
ななき。(プロフ) - しおさん» ありがとうございます!返信遅くなり申し訳ない…!少しですが楽しんでくだされば嬉しいです!今回もよろしくお願いしますね! (2021年1月23日 18時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
しお(プロフ) - 新作…それも、それも、ド派手で愉快な3人組が…!!!!!!!!今作の世界観を構成する要素として彼らが選ばれたことが本当に嬉しいです、楽しみにしてます〜!! (2021年1月16日 0時) (レス) id: 33c3a138b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ななき。 | 作成日時:2021年1月15日 14時