参拾参 ページ34
パクパクと食べているとふと視線を感じて顔を上げる。そこには向かいに座っていたにこにこ顔のお兄さん。
「え、なんですか?なんか顔についてます?」
坂「え? んーん」
「じゃあどうしてそんなに見てるんですか?……あ、お兄さんも食べたいとかですか?」
目の前にあった箱をずいっとそっちに押すと、また「んーん」と押し返される。首を傾げてみたら同じように首を傾げられる。なんなんだこれ。
坂「ごめんごめんw かわいい顔してんなーって見てた」
「か、わいい…? 私が?」
坂「うん、自覚ないの?」
「かわいいってのはふつう、お兄さんみたいな人のことを言うんだと思いますけど」
坂「……あははっw 君面白いなぁ」
全く何も面白いことは言ってないのだが。戸惑いつつドーナツを食べることに集中する。
スタッフ「坂田さん!……あ、すみません取り込み中でしたか?」
坂「いや、なんですか?あ、衣装?」
ス「はい、そろそろお願いします」
坂「はーい。じゃあコンちゃん、またね〜」
「あ、はい。いってらっしゃいです」
ふうっ…と伸ばした背筋を椅子にもたれさせる。
いや待て『いってらっしゃい』じゃない。知らない人の楽屋でドーナツ食べてる図意味わかんないよ。早いとこ出なくちゃ……。いやでも出てったところで……。
?「あれ、おれらの楽屋に美少年がひとり」
??「なに言うてんの志麻くん。美少年がおいそれと現れるわけ……ほんまやん」
?「どちらさん?」
??「スタッフさんでもなさそうやし、誰かのお客さんですか?」
「あ、えっと……」
???「そんなとこで何してんのふたりとも。入れないんだけど」
?「いや見てよ。おれらの楽屋にかわいいお客さんきてんのよ」
???「は?……まじじゃん」
ザ、イケメンの目元ほくろのお兄さんに、美人で色気のある関西弁のお兄さんが入ってきたと思ったら、ずいぶんミニマムでいい声のお兄さんまで入ってきた。
「すみません急に。えっと、廊下で立ち尽くしていたら坂田さん?って人が声をかけてくれて、ここまで連れてこられて来たものです」
?「坂田が?」
??「その坂田はどこへ?」
「スタッフさんっぽい人に衣装のなんやらで呼ばれて行ってしまいました」
???「呼んどいて消えるとかやばいなあいつ」
ほんとそれな。超同意。蒼くんといいどういうつもりなんだ。
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甘蜜 蜜華(プロフ) - あ、あぁぁぁぁ!!!好き。ななき。さんの作品好きです。もう全部好きです。 (2021年1月24日 9時) (レス) id: 80388bac17 (このIDを非表示/違反報告)
ななき。(プロフ) - しおさん» ありがとうございます!返信遅くなり申し訳ない…!少しですが楽しんでくだされば嬉しいです!今回もよろしくお願いしますね! (2021年1月23日 18時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
しお(プロフ) - 新作…それも、それも、ド派手で愉快な3人組が…!!!!!!!!今作の世界観を構成する要素として彼らが選ばれたことが本当に嬉しいです、楽しみにしてます〜!! (2021年1月16日 0時) (レス) id: 33c3a138b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ななき。 | 作成日時:2021年1月15日 14時