青系squad【歌い手】

拾伍 ページ16

「はよ一言」と促されて少し咳払いをしてからマイクに近づいた。




「えー、今日は初めてのこともありいろいろ勝手が分からないところを助けていただきありがとうございました。緊張しましたけどゲームって楽しいもんですね。許してくださるのであればまたやりたいなって思ってるので、よろしくお願いいたします」




［ちょーていねいやん］［定義正しくてめちゃいいこ］

［コンちゃんおつかれー！］





「えっと、おつかれさまです。おやすみなさい」





［このこ可愛すぎるぞおい］

［アオめっちゃいい妹もったな！］

［声がショタボだからドキドキするんだよね］

［私コンちゃん推すことに決めた］

［まってアオコン兄妹推せるんだけど］





蒼「はい、おやすみぃー。ほらほらこっからはアオイトスパチャスーパータイムだから。待て待て残念がるな。俺のリスナーだろーが。まて今［アオくんからコンちゃんに推し変しました］ってコメント見えたぞ。せめてふたりとも推せや」




何やら騒いでいる兄の部屋からゆっくりと退室する。8時から始まった配信だがいつの間にか外はしっかり真っ暗。12時を回っている。ゲームしてると時間忘れるな。





(晩御飯食べてないし……。今度があるなら予め作っとこうかな)





やっとダンボールが片付いた自室に戻りベッドに寝っ転がる。





(楽しかったなぁ…またやれるといいなぁ……みんな優しかったなぁ……)





もっと会話が止まるかと思ったけどそんなことはなくて、たぶん兄が止まらないようにしてくれていたんだろうとふと考える。見えないところで気を使える、兄の新たな一面。

あっという間だった。ゲームなんてただ勉強の邪魔になるものばかりだと思っていたけど、ワクワクするし、ドキドキするし、何よりできた時は嬉しいし、もっとやりたいってなる。

あんなに騒いだの久しぶりかも。寝る間も押しんでやりたくなるのもわかるな。




蒼「…〜…──…」




まだ兄の声がする。スパチャ…と言うのを読んでいるんだろう。

さっきまで冴えていた目が急に重くなってくる。私は抗うことなく意識を手放した。

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