きゅうじゅうきゅう ページ4
▪▪▪
ベッドの上で、手の甲を目元に当てて数時間。寝れもしないし、かと言って体が起きない。時計の針だけがチクタクチクタクいっている。
いっそ何か急かされる用があればいいけど、こんな気持ちのままでは歌も絵もいいものは生まれないだろう。
そろそろ口になにか入れなくては。また痩せたと心配されてしまう。
(いや誰に。外に出ないんだから見られないだろ。関係ないじゃん。あー、ネガキャンうざいぃー……)
心の中で自分自身に悪態を尽きて行く間にも時間はすぎていく。
起き上がるためのカウントダウンが一桁になった頃、唐突にチャイムが鳴った。
「………はーい」
絶対に聞こえてないであろうに返事をする。なにか頼んでいたっけ。
「え、そ、そらるさん…？」
インターホンの画面を見ると、そこには珍しくキャップを被ったそらるさんがいた。
「え、な、何か用事ですか…？」
そ［うん、ちょっと近くまで来たから寄ってみた］
「わ、わざわざここまで…？ 降りる人が少ないところですし、こっちの方にスタジオも何も無いですけど……」
そ［勘がいいね。そう、おいしいプリンが手に入ったから一緒に食べようと思ってさ］
「な、なるほど………あ、どうぞ。今開けますね」
5秒ほど突っ立ったままでいて、はたと自分の姿を見る。完全に寝巻きだし頭がボサボサだ。こんな格好そらるさんに見られたくない……っと慌ててクローゼットを開き着替える。焦る私を他所にピーンポーンと鳴った。
「まっ、まって！もうちょっと！せめて髪はとかさせてぇー？」
ドタバタと支度をして、やっとこさ扉を開ける。
そ「あ、おはよう。……って、だいじょうぶ？」
「ちょ、ちょっと角に小指を……」
そ「気をつけなよ。血出てるし……消毒液と絆創膏は？」
「そ、そこのクローゼットの箱の中です……」
「自分でやりますから」と言う私を「いいからいいから」とソファーに座らせて消毒していく。伏せ目がちな目。まつ毛長くて髪はふわふわ。
そ「A？」
「………あぁっ！？ す、すみません！何やってんだろ私…！」
慌ててそらるさんの髪の毛から手を離すと、彼は「別にいいけど」と立ち上がった。そのまま隣に座る。なにこれ、なんだこれ。
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ちょこ - とてもよかったです！その後話が欲しい！ (2022年4月27日 11時) (
レス) @page16 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
ななき。(プロフ) - LiLiKaさん» コメントありがとうございます！またお会い出来ましたね！重くなりがちなんですがそう言ってもらえてうれしいです…！ (2020年12月22日 20時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
LiLiKa(プロフ) - 本当に主さんの書くお話はすごく感動します…号泣ものですね。大好きです (2020年12月21日 13時) (レス) id: ef0b88e85e (このIDを非表示/違反報告)
ななき。(プロフ) - 透さん» コメントありがとうございます！なんて嬉しい言葉！ラストスパートです。最後までよろしくお願いします！ (2020年11月20日 18時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
透 - とても素敵なお話です！つい続きが気になって、確認してしまいます。言葉選びのセンス光りすぎです！密かにですが、応援させて頂きますね！楽しみにしています！ななき。さんのペースで楽しさを分けて下さい！この素敵な世界の続きを密かな楽しみに待ってます！ (2020年11月19日 20時) (レス) id: 4afabdb3de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ななき。 | 作成日時：2020年11月18日 16時
