ひゃくなな《soraru side》 ページ12
天［あー、えー、天月です］
主人公ボイス。名乗らなくても分かるつーの。
天［そらるさん、女の子を泣かせた罪は重いよ？］
猫［なっ、泣いてない！］
天［僕からは短く］
すっと息を吸う音が入る。
天［僕の大切な友達をよろしくお願いします］
猫［よ、よろしくお願いします！！！］
芯のあるいつもより少し低めの声と、なまった元気な声。そこで音声ファイルは終わっている。
(……愛されてんなぁ、あいつ)
一歩ずつ進んできた彼女の旅。俺は彼女の中でどのポジションにいただろうか。
『そらにぃは……"しんあい"かな。深いじゃなくて信じる方ね』
どれだけ友達が増えても、リスナーが増えても、姿や声の大きさが変わっても、Aは俺のことをとても慕ってくれた。
俺の影響で変わっていくAを見て感動したし、誰かに褒められると鼻が高くなったりした。妹のように可愛がって、年下だけど友人として接して、彼女の手を引いて、背中を摩って、たまには胸を貸したりして……。
Aが消えてから考えるようになったことがある。彼女はどうしてあんなに焦って変わろうとしてたのか。
そりゃあ頑張りたくてはやる気持ちも分かる。周りに感化されて変わりたいと思う気持ちも。でも、俺にはどうしても生き急いでる感じがした。
あれは、怖がっていたんじゃないかと思うんだ。
幸せが壊れるような、幸福が終わるような憂慮から。後ろから迫ってくる漠然とした不安を恐怖していたのかもしれないと。
俺にもあった。今でもあるかもしれない。今の現状に満足して、ぬるま湯に使って、立ち止まっていたらいつかそれに飲み込まれそうな気がしてくる感覚。
だから進み続けなくちゃって、立ち止まってる暇なんてないって、足がどんどん重くなっても、茨で生傷を増やそうとも、誰かがもう大丈夫って言っても。
『みるみるうちに大きくなるのは少し寂しい』
俺は引き止めなかった。背中を押すこともしなかった。
俺はただ、無理して頑張らないでいいよと、俺を言い訳にして休んでいいよと、言ったんだ。
そ「………まかせとけ」
それだけ呟いて窓の外を眺めた。
そ「あっ、あの！Please drop me off here」
憧れ、嫉妬、尊敬、期待……これは恋じゃないけど、一種の愛ではある。
待っとけよ。望み通り……かはわかんないけど、見つけるから。
───
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ちょこ - とてもよかったです！その後話が欲しい！ (2022年4月27日 11時) (
レス) @page16 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
ななき。(プロフ) - LiLiKaさん» コメントありがとうございます！またお会い出来ましたね！重くなりがちなんですがそう言ってもらえてうれしいです…！ (2020年12月22日 20時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
LiLiKa(プロフ) - 本当に主さんの書くお話はすごく感動します…号泣ものですね。大好きです (2020年12月21日 13時) (レス) id: ef0b88e85e (このIDを非表示/違反報告)
ななき。(プロフ) - 透さん» コメントありがとうございます！なんて嬉しい言葉！ラストスパートです。最後までよろしくお願いします！ (2020年11月20日 18時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
透 - とても素敵なお話です！つい続きが気になって、確認してしまいます。言葉選びのセンス光りすぎです！密かにですが、応援させて頂きますね！楽しみにしています！ななき。さんのペースで楽しさを分けて下さい！この素敵な世界の続きを密かな楽しみに待ってます！ (2020年11月19日 20時) (レス) id: 4afabdb3de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ななき。 | 作成日時：2020年11月18日 16時
