ストレイ・キャット・ラメントⅡ【歌い手】 (ページ46)

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きゅうじゅうさん《soraru side》ページ46

猫［なるほどなぁ。歌で感情を外に出すようになったくせが出来たから、逆に普段が明るくなったのかもね］

そ「たぶんだけどね」

微かに聞こえる水分を多く含んだミケの歌声。心地いいアコースティックギターの音。さっきから俺が歌った曲ばかりで、多分これには本人も気づいてない意味がある。

野良猫のような女の子が、立派な女性になろうと必死にもがいて殻から抜け出そうとしてる。何年も自分で貼った硬い防壁が徐々に徐々に崩れていってる。

『みるみるうちに大きくなるのは少し寂しい』

あれは生き急いでるAを守りたかったってのもあるけど、俺の本音だ。
喜ばしいことなんだけど寂しい。俺って女々しいなぁ。

そ「ん」

天・猫［［ん？］］

そ「いや、俺が歌ったことない曲に変わった」

猫［………【ロクベル】？］

天［ハニワの？］

猫［…っぽくない？ほら……たたんたたたんたたんたんたんたんたんたった……だいぶゆっくりだけど、ロクベルっぽい］

そ「どうな曲なの？」

猫［んー……自分のことを人間と勘違いした猫の話。野良猫だったんだけどお母さんに拾われて、そのお母さんがアレルギーじゃったかなんかで倒れんのよ。で、お父さんが『お前のせいで…』みたいな怖い顔したのを見て逃げ出す］

そ「それから？」

猫［あー…また野良猫になって新しい街に移る。そこでIAちゃんにあって仲良くなる］

そ「ハッピーエンドなんだ」

猫［んー、結局お母さんとは離れることになったからどうなんやろ。守るためとはいえ多分すごいお母さんのこと好きだっただろうから］

［ロクベルって改めて歌詞見るとミケちゃんっぽいよね］

［これを弾き語りとか泣くしかない］

［えぇぇぇ、投稿してくんないかなぁ！？］

天［その人を守ることが自分から離れることなら、ミケちゃんはすぐに消えてしまいそうだよね］

猫［ちょっとつっきー、縁起でもないこと言わんでやー］

天［ごめんごめん］

実際どうなんだろう。そりゃいつかは辞める時が来るかもしれないし、辞めざるおえない状況になるかもしれない。俺だって色んなことがあって離れたことはある。

引き止める権利なんて俺にあるだろうか。