ストレイ・キャット・ラメントⅡ【歌い手】 (ページ45)

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きゅうじゅうに《soraru side》ページ45

そ「みんな信じてるし。ごめんごめん冗談だよ。俺は誰にも憑かれてない……いや憑かれてるかどうかは知らないけど少なくとも俺は気づいてない。天月が聞いたのは多分歌声だわ」

猫［歌声？］

そ「下手に言って炎上しても困るから言わなかったけどミケ来てんだよ」

猫［え！ミケちぃ！？おるん？！！話したい話したい！］

そ「だーめ」

猫［えぇー、けちんぼぉー］

天［遊んでたんすか？］

そ「打ち合わせがてら昼から来てたんだけど、夢中になってたら夜になってて、さすがにひとりで帰らす訳には行かないから待ってもらってる」

天［あーなるほど。で、ひとりで歌ってるの？］

そ「いや？インフォに弾き語り聞かせてるよ」

猫［へぇー！ミケちぃってインフォさんと仲良いんだ］

そ「うん、それこそ俺が大学生の時から面識あったから」

天［じゃあ今インフォさんに向けてライブしてんの？は？うらやまなんだが？］

［え、なにそれ超うらやま案件］

［ミケミーの弾き語りライブ…だと？！］

［インフォさんひとりで聞いてんの？その光景見たすぎるんだが？］

そ「しばらく放置してた俺のギターを引っ張り出して弾いてるね。今は……【グッドナイトフォール】…かな？さっきまで【宛らバイバイ】やってた」

天［聞きてぇ……というか相変わらず哀歌なんだ］

猫［ミケちぃってテンションいぇーい！……って曲あんま歌わんよなぁ］

そ「俺がそういうの多いからね」

天［おっ、マウント？］

そ「違うけど。あ、【ユラユラ】に変わったわ」

猫［ミケちぃ、そういう曲嫌いなん？］

そ「嫌いじゃないとは思うよ？カラオケでも歌ってたし。ただなんて言うか、うまく説明出来ないんだけどー、あれはミケなりの消費なんだよ」

天［消費？］

そ「辛い気持ちとか苦しい感情とか不安定な気分とか、歌声と一緒に吐き出して溜め込まないようにしてるんだと思う」

天［それで消費、か］

そ「かっこつけな上に不器用だから発散の仕方が下手で、昔は自分でもわかってるくせに溜め込んでたんだけど、『そういうの全部歌声に落とし込んだら？』って言ったあとから表現力がぐんとあがってた」

天［あー、確かにミケちゃんの表現力凄まじいもんなぁ］

そ「なんかもともとお芝居やってたからさ、変に自分の個性？みたいなの隠すようにしてたみたい」

物心着く頃からそうだったからそこは自分でも気づいてなかったらしい。