はちじゅうはち ページ41
ま「ミーちゃん」
「お、まふくん、来ましたか。おつかれさま」
ま「おつかれ。スタッフさんが呼んでたよ」
「おっと、これ終わったら行くね」
ま「……タバコ？吸う人だっけ……」
「ちょこちょこね。こんどこそやめれたと思ったんだけど」
ま「……美味しい？」
「まっずい」
ま「なのにやめれないの？」
「やめれないねぇ。恐ろしい」
ま「………」
まあ、妥当な反応よね。根っからのミュージシャンのまふくんはそりゃあタバコに嫌悪感を抱くのは無理もない。
ま「1本貰っていい？」
「え、タバコを？吸うの？」
ま「1本だけ」
「………まふちゃんはやめといた方がいーよ」
ま「優しいなぁ。1本だけでいいから」
「……怒られても知らないよ。どーぞ」
ま「ありがと」
親指と人差し指でタバコを抜き取ると口に加えた。やたら絵になるなぁ。
「ん、つけてあげる」と片方を風避けにして反対の手でライターをつける。私女にしては割と身長高い方だけど178あるまふくんを見るためには少し見上げないといけない。
ま「……ゴホッ…ゴッホゴホッ……！」
「ばかばかばか、だからやめとけって言ったのに！もーだめ」
口に加えてたタバコを取り灰皿に潰す。少し涙目になったまふくんに無意識的に心臓がドキリと跳ねた。
ま「おれ、ミーちゃんの歌好きだよ。ハスキーな声も」
「お、おう」
ま「だから、ひとりのファンとして言うんだけど」
「はい」
ま「やるせない気持ちをこういう形で発散するのは推奨しないかな」
「……まふちゃんってミケミヤのファンだったの？」
ま「え、知らなかったの？」
「知らないよ。初めて言われた」
ま「すごく尊敬してるよ。活動者としても友達としても。ミーちゃんが色々頑張って進もうとしてる時期ってのは分かるけど、それで自分を苦しめるのは違うんじゃない？ できる限りの事は応援したい。でももっと違うやり方が……」
「ごめんごめんごめん！ごめん！私が悪かった。許してくれまふくんよ！」
ま「ほんとに？分かってくれた？」
「ごめんな？そんな考えてくれてたんだな。良心が痛むってこういうことなのね」
ま「………まって、もしかして」
「ドッキリ、し返してみたんだ」
ま「はっずいんだけど……」
「一応仕返しはできたみたいでよかった。けど結構な良心が痛みました。はい次！」
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作者名：ななき。 | 作成日時：2020年11月2日 15時
