はちじゅう ページ33
▪▪▪
そ「A、迎えに来た」
「そ、そらにぃ、なにしてるの？」
そ「うらたくんから連絡が来て、ひとりで帰らすわけにはいかないからって」
志「ほんとはおれたちが送れたら良かったんだけど、そこは空手黒帯のお兄さんの方がいいだろうってねー」
セ「不甲斐ない男で申し訳ない。逃げ足なら勝てるかもやけど」
「いやこちらこそ申し訳ない。そらるさんも来なくていいんですよ？私ちゃんと帰れますから」
そ「嘘つけ。ここまで来るのすごいリハーサルしてた挙句タクシー呼んでただろ」
「な、なぜそれを……」
そ「ついったーにバッチリ書いてます」
「あー！ついったー依存度高杉くんの仇がぁ！」
そ「はいはい、帰るよ。お疲れ様でした」
「お疲れ様でしたぁぁーー」
引っ張られる形で強制的連れて帰られる私。そんな様子を見て笑いながら手を振るうしさせ諸君。少しは役に立てただろうか。
夕暮れに染まる町。並ぶのは10センチほどズレた影。逢魔が時。黄昏とも言う。
そ「撮影、どうだった？」
「楽しかったですよ。しませんには久しぶりに会ったし、うらさかとは最近よく会ってるし………また、助けられちゃった」
そ「いいんじゃない？助けるのも守るのもお互い様だし」
「私はそらにぃを守れてる？助けられてる？」
そ「うん」
「ほんとに…？」
そ「それに楽しまされてるし、応援させてもらってる」
「させて、もらってる……」
そ「かわいい妹が成長していく姿は兄ちゃんとしては嬉しいよ」
「……そっか」
そ「でも、みるみるうちに大きくなるのは少し寂しい」
「寂しい…？」
そ「うん」
本気なのか冗談なのか、ゆらゆらと誰もいない道路を歩くそらるさん。
「そっかぁ…さみしいのか……だったらまあ、焦んないことにする…」
そ「うん。そーして」
「そらにぃ、すごいね。一気にモヤモヤ薄くなった」
そ「それはよかった」
雲が消えていく。雨が上がっていく。視界が開けていく。
やっぱりそらにぃは、すごい。
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作者名：ななき。 | 作成日時：2020年11月2日 15時
