ななじゅうはち ページ31
ダメだ、楽しいはずなのに、なのになんでこんな気持ちになるんだろう。
やっぱりダメだ。まだ変われてない。まだ、ダメなの……？
坂「ごめん、一回止めて」
セ「え？」
坂「ミケミー、今なんか変なこと考えてたろ」
「何言って…」
坂「作り笑いしてた」
さかたんの澄んだ目が私を捉える。
「………ごめんなさい。いいパパだったのは確かなんだよ。パパに撮ってもらうのが好きだったのもほんと。ちょっと撮られてた時のことを思い出して怖くなって……」
坂「うん、喋んなくていいから。ちょっと休もう？」
「休めない。休めないよ…。せっかくみんなが力を貸してくれてるのに、今が頑張り時なんだよ。休んでる暇なんてない…」
坂「ミケミー……」
志「頑張るのと無理すんのは違うやろ」
セ「ミケさんはもう充分頑張ってる。走り続けてきたんやから、休憩しよな？」
「ダメなんだ…っ…」
う「ミケ、俺たちは意地悪で言ってるわけじゃない。お前が助けてって言えない人間ってことを知ってるから、人のために求められること以上のことをやろうとするのを知ってるから、だから休んでほしいんだ」
坂「ミケミーが休むならオレも休むから。無茶せんといてや…」
「……っ…、ごめ、私また……」
志「"ありがとう"」
「ぇ…？」
志「そういう時は "ありがとう" やで」
セ「人間なんやからダメなもん2、3つあったってええの」
「私、たくさんある。2つ3つどころじゃないし、迷惑かけてる……」
坂「友達なんやから、迷惑くらいかけてよ」
さかたんの真ん丸な目が少し潤んで見えた。
坂「なぁ、前に『オレと友達なのめんどくない？』って話したこと覚えてる？」
「………うん」
坂「そんときオレになんて言ってくれたかは？」
「………えっと、確か」
坂『…なぁ、ミケミー。俺と友達になるのやめといたら？』
『………質問の意図が分からないな』
坂『んー、ぶっちゃけオレと友達なのめんどくさいでしょ…ってこと』
『私がそう思ってるって思ってるの？』
坂『………ミケミーって優しいから、口には出さんだけかもしれんやろ？』
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作者名：ななき。 | 作成日時：2020年11月2日 15時
