捌拾捌 ページ40
偽物の笑顔を意識しなくてもできるようになったのはいつからだろう。知りたくもない人の裏側が透いて見えるようになったのはもうずっと前だ。
『お父さま、あの人泣いてたよ？ 許してあげたら？』
『いいんだよ。それだけ悪いことをしたんだ』
家には父に頭を下げる人が毎日のように来てた。
『お父さま、わたしもうお友達がたくさんできたの』
『よかったね。大切にしなさい』
友達というものが最初から用意されていた。
『お父さま、私あの子の持ってる〇✕△がほしい』
『そうか、ではちょうだいと言ってみなさい』
ほしいと望めば苦労せずになんでも手に入った。
鈍感なままでいればよかったのかもしれない。気づかないまま、知らないまま、温室でぬくぬくと可愛がられていればよかったのかもしれない。でも分かってしまった。社会の中で自分がどのランクに位置するのか。どんな態度を、どんな姿勢を、どんな返答を大人たちは求めているのか。
そういうのが嫌で中学はほとんど学校に行かず家庭教師に勉強を教えてもらってた。
さすがに『高校は行きなさい』と言う父親の強制と、『ごめんなさい私のせいで』と謝りつづける母親の涙で私は女子校に入学した。
何か変わるかと思ってた。けど体が大きくなっただけで、私も周りも何も変わってなかった。もういっそ別の人間になってみようかと演劇部に所属し、そこでとある "センパイ" に出会った。量産型で同じ笑顔しか向けない人とはまるで違う、綺麗な人だった。
『識センパイ、こんなの耐えられないです』
『そうかー？何もしなくてもモテモテだぞ、わたしたち』
『センパイはかっこいいですもん。私なんてただの……』
『お人形さんだって？そういうもんだろ、ここにいる人間たちは』
『………家柄しか見てないんでしょうね、あの人たち』
『いいじゃないか。家柄だって立派なステータスだ』
『そんなの私の力じゃないです。私は、私として認められたいのに……』
『あはは、Aは真面目だなぁ』
歯を見せて笑う先輩とは対照的に私はずっと眉をひそめて思考し続けた。
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ななき。(プロフ) - るるるさん» そういう事でしたか！いえいえ、ご指摘助かるんでうれしかったですよ。他の作品もよろしくお願いします！ (2021年6月5日 13時) (
レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
るるる(プロフ) - ると同一人物なんですけど、、、なんかこちらの端末のバグだったみたいで他の端末でみてみたら普通になってましたほんとに申し訳ない。。。 (2021年6月4日 23時) (レス) id: c7e16937c6 (このIDを非表示/違反報告)
ななき。(プロフ) - るさん» うぉっつ…ご指摘ありがとうございます…。どの話か教えて下さると大変助かりやす…。 (2021年6月4日 18時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
る - 主ちゃんの名前Ａになってますよ(ﾎﾞｿｯ) (2021年6月4日 17時) (レス) id: 69a285c503 (このIDを非表示/違反報告)
ななき。(プロフ) - 甘蜜蜜華(精神安定剤())さん» ありがとうございます！応援を糧に精一杯最後まで頑張らせていただきますね！ (2021年3月6日 14時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ななき。 | 作成日時：2021年3月5日 13時
