聞き上手ボーイ ページ4
「……なぁ、拓也に私のお母さんの話ってしたことあったっけ?」
江「ん?ほら1年とき、PTAでAんとこどっちも来なかったからさ」
「そこで話したんだっけ?」
江「そうそう。『お父さんは仕事が忙しくて、お母さんは病気で入院中』って」
「あー、全然覚えてない」
江「入学して初めてのPTAのだったよ。まわりに『花月さんの親だれー?』って聞かれまくってて、相当イラついてたんだろうね」
「何となく思い出してきた……。そっか、あの頃はまだ拓也とも全然話してなかった時期だったよね」
江「そうそう。それでクラス中が気まずくなって黙り込むっていうw」
「今どき片親も珍しくない時代だからね。私だけじゃなくて、いろいろ事情を抱えたやつもいるし、そういうのはズカズカ聞いちゃあかんのですよ」
江「たしかにな」
拓也は聞き上手だ。普段言えないことや、ひた隠しにしてきたことを全部話してしまいそうになる。
「で、拓也の話だよ」
江「まだおれの話?もう終わったけど」
「なんだよー、私の話は聞くのに私には話してくれないのー?」
拗ねたようにわざと頬をふくらませると、拓也は苦笑いをした。
江「ほんとにないって。でも相談乗ろうとしてくれてサンキューな」
「……うん、またいつでも聞くから。その… "友達" ってこれで合ってるかわかんないけど……」
江「……あははっw ははっw お前そんなこと考えてたのかよw」
拓也は一瞬きょとんとして、それから笑いだした。
江「友達も恋人も合ってるとか合ってないとかないんだよ。人それぞれに、それぞれの向き合い方や接し方がある。Aは変なところで真面目なんだからまったくw」
「………なんだよ、笑うんじゃねー!」
江「ははっ…w ダメだ止まんないw」
「もう知らん!帰る!………帰りはどうするの」
江「櫻井先生に送ってもらうよ」
「あっそ、じゃあまた明日!気をつけて帰れよ!」
江「はいはいまた明日〜w」
まだ薄ら笑いを浮かべている拓也を置いて保健室を出た。
(何事もなくて、ほんとによかった………)
夕方がすっかり肌寒くなってきた11月の空には、月がほのかにぼんやり光っていた。
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ななき。(プロフ) - ゆゆさん» すみませんみおとしてましたぁ!!コメントありがとうございます!亀更新になるとは思いますが、気長に待ってくれると嬉しいです!よろしくお願いします! (2020年11月15日 18時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ - 昨日知り、全部読まさせて頂きました!更新頑張ってください!楽しみにしてます! (2020年5月25日 14時) (レス) id: 2487ef8f40 (このIDを非表示/違反報告)
ななき。(プロフ) - 春さん» ありがとうございます!長くなるとは思いますがよろしくお願いします!がんばりますね! (2019年12月30日 17時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
春 - 続編おめでとうございます!これからも楽しみにしてます!! (2019年12月27日 15時) (レス) id: 10bd62f869 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ななき。 | 作成日時:2019年12月27日 9時