和歌と甘いボイス ページ5
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古典といえばメリハリのないつまらない授業、そんな印象があるが、うちの学校の古典の授業はむしろ人気が高い。
それはマイクラス、2年A組の担任、津田 健次郎先生が務めているからだ。
津「『あひ見ての 後の心に くらぶれば 昔はものを 思はざりけり』これは、拾遺集に乗っている、権中納言敦忠の読んだ歌だ」
女子1「どういう意味ー？」
津「『あなたと会って一夜を過ごしたあとの、この切ない心に比べると、会う前のもの思いなどはものの数には入らないようなものだったのですね』」
渋い、だからといって低すぎる訳でもない、誰もがうっとりするような優しい声が教室を包む。
津「つまり、会えば会うほどバイバイしたあと、早く会いたいって気持ちが募っていくってこと。いっそ会わなければと思ってしまうほどの切なさを読んだ歌だな」
会いたい、でも別れた後の気持ちを思えば会うのがためらわれる。そんな和歌だ。
津「次、最近サボりがちな花月、読んでみろ」
ぼうっとしていたら当てられてしまった。
「……『しのぶれど 色に出にけり わが恋は ものや思ふと 人の問ふまで』」
津「これは、平兼盛が読んだ和歌。現代語訳はわかるか？」
「……『私の恋を誰にも知られないように心にひめていたのに、いつの間にか顔色に出てしまったようだ。なにか物思いをしているのですかと人が尋ねるほどに…』」
津「うん、これは割と有名な歌で聞いたことあるやつも多いだろう。恋している時は、どんなに隠そうとしても結構バレているって言う事だな。
じゃあその横で隠そうともせずどうどうと寝てる江口、次の和歌……江口、おい江口。………花月、叩き起してやれ」
思いっきり叩くと他の女子に怒られるので、肩をポンポンと叩くと、江口はゆっくりと体を起こした。
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ななき。(プロフ) - 春さん» こちらにもコメントありがとうございます！これからも気長にお付き合い下さい！ (2019年10月20日 13時) (
レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
春 - 新作おめでとうございます！応援してます！(^-^)v (2019年10月20日 10時) (レス) id: 10bd62f869 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ななき。 | 作成日時：2019年10月19日 21時
