検索窓
今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:52,293 hit

いつもより低い声 ページ31

「………私も」

斉「え、A先輩もですか?」

「小さい頃、料理しちゃダメって言われてたのに、りんごを剥いてあげたくて包丁で指をザクッとね」

斉「ヒッ……!」

「大したこと無かったんだけどめちゃくちゃ怒られて、今でも実家のキッチンには立たせてもらえないと思う」

斉「へぇ……なんでも器用にこなすのかと思ってました……」

「そんなことないよ」

斉「そんなことありますよ。運動も勉強も、絵も楽器も、人付き合いも、人の喜ばせ方も」

「……そんなことないって。特に最後のふたつなんてすごい苦手だし」

斉「そんなことあります。A先輩と一緒にいる人はいつも幸せそうだし、先輩と話してる時は楽しそうに笑ってる」

「なんだよ、照れるじゃんか。そんなに褒めてもなんも出ないぞ」

斉「そういうところも含めて、人に好かれるんですよね」

「……そういう壮馬だって女の子にモテるし」

斉「A先輩もよく呼び出されてますよね」

「な、なんで知って……」

斉「保健室から中庭がよく見えるんですよ。桜の木の下、告白スポットって僕でも知ってます」

「……壮馬も2年3年に声掛けられてたでしょ」

斉「あれは世話を焼いてくれてるだけですよ。子猫に餌やってるみたいなもんです」

「なにそれ。あの人たちが頬染めてたの気づいてるだろ」

斉「………A先輩、もしかしてそれ、ヤキモチだったりしますか?」

「はぁ…?」

斉「僕と女の人が話してるところよく見てるってことですよね?どうなんですか?」

「ちが、そんなんじゃないって。ただ私のこと褒めるから、壮馬だって色んな人に好かれてるって言いたくて……」

斉「………A先輩、顔、赤いですよ……?」




顔を覗き込まれて目をそらす。




「いや、暑くて……っていうか暗くて見えないでしょ」

斉「…………先輩、僕は、どんなに女の子に好かれても嬉しくないんです。世話を焼かれても、好意を伝えられても、どうでもいいんです」

「……それ言い方悪いだろ」

斉「だって本当のことですもん。僕が本当に好かれたいと思うのは、好きになって欲しいのは………」




綺麗な顔がゆっくりと近ずいてくる。綺麗な唇が薄く微笑まれていて、澄んだ目に私が揺れている。

さわさわと風に吹かれている髪が、触れそうになるくらい近ずいて、そして……。

天体のかけら→←星と星を繋ぎながら



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (33 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
93人がお気に入り
設定タグ:男性声優 , 学園モノ , 高校生
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ななき。(プロフ) - 春さん» こちらにもコメントありがとうございます!これからも気長にお付き合い下さい! (2019年10月20日 13時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
- 新作おめでとうございます!応援してます!(^-^)v (2019年10月20日 10時) (レス) id: 10bd62f869 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ななき。 | 作成日時:2019年10月19日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。