八重歯が光る ページ17
私はすぅ…っと息を吸い、そのお姉さんに向かって大きな声を出す。
「失礼しまーす。生徒会主催、清掃ボランティアのものです。ゴミを預かりに来ましたぁー」
広い講堂に響く。一斉に振り向くお姉さんと生徒たち。
愛「おぉ!Aちゃん!」
「ひさしぶりです、愛生ちゃん先生」
愛「どうしたの?あ、もしかして遊びに来てくれた?大歓迎だよぉー!」
このふわふわした人は、豊崎愛生先生。吹奏楽部の顧問だ。柔らかい物腰で少し天然なところもあるけど、笑顔でふつふつと怒っていくタイプの先生。
「清掃ボランティアです。ゴミの回収をしに来ました」
愛「なんだぁ。つまんないのぉー」
「つまんなくないですよ。ほら、ゴミください」
愛「ゴミならそこの控え室にまとめてあるよぉ。もってってー」
「はい。……みんな」
私の声に後ろにいたB班のみんなが動く。私は愛生ちゃん先生に手招きされ、ホールの階段をおりた。
愛「ねぇ、いっぱつ弾いていかない?ねぇねぇねぇ〜おねがいぃ〜!」
私の腕を取って引っ張る愛生先生は、さながらお菓子をねだる子供のようだ。上目遣いなんかしちゃって。年齢不詳の顔に魅惑的なボディーから魔女って言われてるのも頷ける。
「やですよ。愛生ちゃん先生こわいし…」
愛「むぅ、Aちゃんが弾いてくれると気が引き締まっていいのになぁ」
ステージにいる生徒たちは、私たちの様子を驚き半分、戸惑い半分で伺っている。
優しくてかわいらしい愛生先生は、生徒からの人気が高いがその一方で、圧倒的な才能のせいで部活中は少し独特のオーラがある。そこに踏み込んでいるところに、びっくりしているのだろう。
「じゃ、私そろそろ行きますね」
愛「また来てね〜!じゃないと今度からわたしから行くからね〜?」
「はいはーい」
愛生先生に手を振り返し、講堂の扉を開け、外に出る。潮風の匂いがツンと鼻腔にとどく。
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ななき。(プロフ) - 春さん» こちらにもコメントありがとうございます!これからも気長にお付き合い下さい! (2019年10月20日 13時) (レス) id: 42df20d673 (このIDを非表示/違反報告)
春 - 新作おめでとうございます!応援してます!(^-^)v (2019年10月20日 10時) (レス) id: 10bd62f869 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ななき。 | 作成日時:2019年10月19日 21時