だいぶ重めの愛 ページ41
▪▪▪
セ「じゃあまた、授業が終わったら連絡くださいね」
「はーい」
セ「愛してますよ、Aさん」
「……はよ行けって」
セ「ふふふっ、照れちゃってかわいいなぁ、Aさんは」
手を振り校舎に入っていくセンラを見送りため息をつく。
(はぁ……重い……センラの愛重いわぁ……)
毎日用意されてる服に毎日やってくれるメイクと髪。大学の送り迎え。そして『愛してます』だの『かわいい』だのの嵐。
正直ここまでとは……中学生の時と違い過ぎて戸惑いを隠せない。
？「朝からラブラブだな」
「しっ、………まくん」
志「なんだよその間」
声掛けられ後ろを振り向くとそこには志麻くんがいた。
タートルネックのセーターに黒のパンツスタイル。耳元にはフープ型のピヤスが着けられている。紫の漂うオーラ。紛うことなきイケメン。目元のほくろがさらに色気を誘っている。
「げ、げんきー？」
志「元気だけど。ほら、教室行くぞ」
「あ、うん」
例のごとく教室が分からないので歩幅を合わせてついて行く。
志「しばらく休んでたけど何かあったわけ？」
「あー、なんか体がだるくて」
志「へぇ、大丈夫か」
「うん、平気」
志「昔っからそうやってよく倒れてるんだから、なんかあれば連絡しろよ」
「わ……かった」
志「だからその間なんだよ」
この世界軸では志麻くんは幼なじみ……みたいな立ち位置だろうか。
「音楽学科、ですか。そうですか……」
志「なにをいまさら……って着いてくんなよ。お前はあっち」
「演奏学科。………ちなみに志麻くんは？」
志「おれはミュージック学科。……なに、記憶喪失？」
「かもしれない」
志「おいおい、寝ぼけてんじゃねぇの？」
「かも、しれない」
志「……はぁ、とりあえず行ってこい。無理なら連絡しろ。送ってやっから」
「いいやつかよ……ありがとう」
志「きっも。なに急に。ほんとに大丈夫なわけ？」
「へいきへいき。そっちも頑張ってねー」
とりあえず朝センラから受け取ったこれが、何かしらの楽器だってことはわかった。そして私は演奏学科……演奏なんて私なにをするんだろう。
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作者名：ななき。 | 作成日時：2021年1月8日 21時
