放課後のコソ練 ページ28
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みんなが帰った放課後。文化祭までまだしばらくあるから放課後に残る人は少ない。
茜色に染る教室には私とルナさん、そしてなぜか志麻くんがいた。
「なぜ志麻くんがいるの？」
志「おれも本読み。覚えらんねぇーの」
「案外真面目だねぇ。練習にも付き合うし、いいやつか！」
志「不良じゃねんだから普通にやるわばーか」
「ばかってひどい！事実だけど！だからこそ傷ついた！そんなこと言ってると後でジュース奢ってもらうからね〜」
志「お前おれに奢らせすぎだろ」
そんな言っていつも買ってくれる。最初は怖い人かと思ったけどほんとは割といい人だ。なんだかんだ言って優しいし。なんというか、素直じゃない天邪鬼さんって感じ。
この美形だから黙っていると迫力があって、周りから一定の距離を置かれてるっぽい。勘違いされるタイプだな。普通に話しやすいし、たまにだけど笑うのに。
ルナさん台本をペラペラと捲り、律儀に付箋を貼っているところを開く。
「じゃあここ、王子を助けるところね」
ルナ「わ、わかった！……『王子さま！ しっかりして王子さま！』」
志「『うっ、うぅ……』」
「カット！志麻くん、王子は人間だ。ゾンビじゃない」
志「うるせぇよ。ゾンビも人間だわ」
「もうちょっとトーン上げて」
志「……『うっ、ううっ！』」
「いいかんじ！で、女が近ずいてきて人魚は隠れる！………あ、私がやるのか。んッんん……『大丈夫ですか？大丈夫ですか王子？』」
志「『あ、ありがとう。あなたが僕を助けてくれたのですね』」
「棒読み……」
志「じゃあお前やってみろよ」
「えぇ〜……『あ、ありがとう！あなたが僕を助けてくれたのですね…？』」
ルナ「わぁ〜、かっこいい〜…」
「え、ありがとう。照れるなぁ。なんだ学年一のイケメンも顔だけだな！」
志「あー、うぜー。調子乗ってるわー」
「うそうそごめんって。拗ねないで？志麻くんはいつでもかっこいいよ！」
志「拗ねてねぇから」
「あ、そう？」
…の割にそっぽ向いてますけど。照れんな照れんな〜。
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作者名：ななき。 | 作成日時：2021年1月8日 21時
